本書「公衆衛生」は,そのような公衆衛生のダイナミズムを3部に分けてわかりやすく解説したものである.「総論」では,歴史やシステムなど公衆衛生を 理解するための基本的事項を盛り込んだ.「方法論」では,集団における健康 問題を把握するための方法である疫学や保健統計の基礎と,それらを実際にどう活用するかを述べた.臨床でいえば,診断学にあたる部分であり,ここをきちんと理解しておくことは,将来の臨床の場での調査研究にも役立つことだろう. 「各論」では,子ども,高齢者など対象者の属性による公衆衛生上の特徴や歯科保健,精神保健など公衆衛生の分野ごとの解説,および,学校保健や産業保健など特徴ある状況における公衆衛生活動や環境保健分野の解説を盛り込んだ.いずれも,実際の公衆衛生活動の息吹を感じさせる内容となっている. 本書が,将来の保健医療従事者である読者の,広く集団や社会の視点から健康問題を見る「確かな目」を育てることに少しでも貢献できれば,これに勝る喜びはない.編者一同
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