308010043
13/16
131人々の生活と看護のかかわり これらについて定めているのが保健師助産師看護師法(以下,保助看法)である.保助看法では保健師は保健指導を,助産師は助産または妊婦,褥婦もしくは新生児の保健指導を,看護師は傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を業とすると定められている(表1.1-1).保健師と助産師は,それぞれ保健師国家試験と助産師国家試験だけではなく,看護師国家試験に合格しなければ免許が取得できない.看護師国家試験を受験するためには,法が定める教育機関で,専門職として行う「看護」とはどのようなものか,どうあるべきなのかについて,等しく基礎教育を修める必要がある.この基盤の上で保健師や助産師としての仕事を行うのである. 保助看法第5条(表1.1-1)には,看護師は「療養上の世話または診療の補助を行う」とある.療養上の世話とは,病人や褥婦がより健康で,その人らしい生活を営めるように行う生活援助である.また診療の補助とは,医師や歯科医師が行う検査・治療において,それらを受ける人々に対して検査・治療が納得の上で安全に安楽に効果的に行われ,検査や治療の侵襲から速やかに回復するよう援助することである.看護師は,人々に対して生活と医療の両側面から関わり,援助することのできる職種である. 日本には看護職以外に,理学療法士,作業療法士,介護福祉士のようなヘルスケアの専門職が存在している.保助看法施行以降に誕生した職種の多くは,看護師でなければ業として行えない診療の補助について,保助看法第31条第1項および第32項の規定を一部解除し,業として行えるようにしたもので,医療面からのアプローチを行う職種である.また,在宅ケアで協働することの多い介護福祉士は,喀痰吸引等の一部の医療行為を除き,日常生活の援助を行う.また,社会福祉士のように相談や関係の調整を主たる業としている職種もある. このように,人々のヘルスケアへの援助を行う専門職種で,生活と医療の両面から対象をとらえ,包括的に援助していくことのできる職種は看護師のみである.看護師は,生活援助を業とする職種,診療の補助を業とする職種,そして,その他の専門性をもった職種の活動をつなぎ,全体として療養を行う人にとって調和のとれた支援が行われるように調整する重要な役割をもっている.→保健師助産師看護師法についてはp.200も参照.3看護職の仕事→p.203 表8.1-4も参照.保健師第2条 この法律において「保健師」とは,厚生労働大臣の免許を受けて,保健師の名称を用いて,保健指導に従事することを業とする者をいう.助産師第3条 この法律において「助産師」とは,厚生労働大臣の免許を受けて,助産または妊婦,じよく婦もしくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう.看護師第5条 この法律において「看護師」とは,厚生労働大臣の免許を受けて,傷病者もしくはじよく婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者をいう.准看護師第6条 この法律において「准看護師」とは,都道府県知事の免許を受けて,医師,歯科医師または看護師の指示を受けて,前条に規定することを行うことを業とする者をいう.表1.1-1●保健師助産師看護師法に規定された看護職の業務
元のページ
../index.html#13