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14(1)看護職の活動の場 日本の看護職のうち就業者は約160万人であり,そのうち約80%は病院あるいは診療所に所属している(図1.1-1)1).医療機関内には病棟,外来,検査室,手術室といった治療や療養が行われる場と,それ以外の患者相談室,地域連携部門,治験部門,医療安全管理部門,職員教育部門などがある.看護職はさまざまな部門で患者への直接ケアや相談,医療チームの調整,職員の人材育成といった活動を行う. また医療機関以外の地域社会の多様な機関に所属し,在宅,介護・福祉施設,行政,企業,学校・保育所のような多様な場で活動している.開発途上国や災害の被災地での医療支援活動や学校の修学旅行やキャンプに同行する,いわゆるツアーナースといった活動もある. さらに,個人を対象として直接的に療養上の世話や診療の補助,あるいは保健指導を行うのみならず,組織・集団,地域全体を対象とした公衆衛生看護活動もある.また省庁や都道府県,市町村などの行政の場には,社会や地域の問題を解決するために政策立案や実施を担う看護職もいる.(2)地域包括ケアにおける「看護」 日本は少子高齢社会を迎え,治癒を目的とした病院での医療から,病気や障害をもっても,住み慣れた所で暮らし続けられるように支える地域包括ケアへと転換している.医療は予防や介護とともに,ケアの一部として位置付けられている.誰もがもっている「看護」の力を発揮できるように支援するという看護職の役割は,地域包括ケアにおける「自助」「互助」という,これからのコミュニティーに必要とされるケアを育てることである. 病院では,患者ができるだけ早く自宅での生活に戻り,家族やコミュニティーの力を借りながら,自立して生活が継続できるように,地域の専門職と連携した療養支援や退院支援を行うようになっている.また,外来の待ち時間を利用した健康教室を開催したり,がん患者のサポートグループのような当事者の情緒的・教育的支援を継続して行う活動もある.地域では,商店街の中など身近な場所で住民が立ち寄って困りごとを相談できるまちの保健室の活動が広がっている. 看護職は所属機関がどこであっても,常に自身の活動が地域包括ケアの目標である,人々のクオリティ・オブ・ライフにつながっていることを意識して柔軟に活動を生み出していく必要がある.(3)看護師が行う「療養上の世話」と「診療の補助」 看護師でなければ行えない業務,つまり看護師の独占業務は,傷病者と褥婦に対する療養上の世話と診療の補助である.医師の医学的判断および技術をもってするので4看護が行われる場と活動地域包括ケアにおける自助・互助少子高齢社会において,住み慣れた地域で最期まで暮らし続けるためには,社会保障制度による公的サービス(公助)に頼る以前に,自分のことは自分で行う,日ごろから健康管理を行う,老後に備えるといった「自助」がまず行われる必要がある.また,隣近所で見守る,声を掛け合って助け合う「互助」も大切である.「互助」は豊かなコミュニティーをつくり出し,住民一人ひとりの豊かな人生につながっていく.図1.1-1●看護職の就業場所(平成27年)合計1,634,119人(100%)病 院991,886(61)診療所336,766(21)助産所1,911(0.001)訪問看護ステーション42,423(2.6)介護施設等170,160(10)学校等31,264(1.9)その他14,398(1)保健所8,784(0.5)市町村36,527(2)( )内は構成比平成28年看護関係統計資料集.日本看護協会出版会,2017,p.2より筆者作成.

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