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 日本は少子高齢社会になり,経済不況の影響もあり医療費削減が重点課題となってきた.そのため医療保険のシステムも変わり,従来のように出来高払いで長く入院するのが当たり前という状況ではなくなってきた.国立病院も慢性期病棟が減少し,急性期病棟を中心とした短期入院のシステムにシフトしてきた.そして,慢性病に対しては,外来や在宅での対応を強化する必要が生じてきている. 2014(平成26)年度の診療報酬改定では,こうした必要性を背景に,次のような重要な改定が行われた.①在宅復帰の促進のため在宅復帰率に係る加算の評価,②外来医療の機能分化・連携の推進,③在宅医療を担う医療機関の確保と質の高い在宅医療の推進,④医療機関相互の連携や医療・介護の連携の評価が挙げられる.さらに,特記すべき改定として,緩和ケアを含むがん医療の推進が挙げられる.これはがん患者指導管理の充実を目指すもので,がん患者の精神的なケア,抗悪性腫瘍剤(抗がん薬) 2セルフマネジメント支援の構成要素 1セルフマネジメントと社会的背景 指導型では,対象者は無知な存在であり,何が危険なのか,どのようにすれば救助しやすいかは,専門家である救助者が最もよく知っていると考えられている.そのため,専門家が対象者の健康上の課題から,正しいと判断した指示を一方的に与えるだけで,基本的には対象者に意見を求めることはしない. ここでは,いかに的確に情報を伝えるかが教育の中心的課題になるため,専門家には,大きな声でわかりやすく指示内容を伝達する技術が求められる.つまり,対象者に対して,話し上手,説明上手な人が優れた専門家として評価される. 一方,学習援助型では,この川の深さや波の荒さなど,川の状況は,泳いでいる人にしかわからないと考えられている.専門家であるコーチは,泳いでいる人の問題提起をもとに,どのような川の中で泳いでいるのかを聞きながら,その状況に合った方法を提案したり,成功例を紹介したりして,対象者が自分に合った泳ぎ方を見つけられるよう一緒に探求していく. ここでは,いかにうまく話を引き出すかが援助のポイントとなるため,専門職は,「泳いでいる人が,今どのような問題を感じているか」を聴くことから始め,その人が,自分自身で課題に気づき,その解決策を見つけ出せるよう,問題を意識化,表面化するきっかけづくりや雰囲気づくりをしていくことが必要である.つまり,対象者に対して,聴き上手,尋ね上手な人が優れた専門家として評価される.また,学習援助型では,泳いでいる人同士の交流は,情報交換や「あの人がやっているなら私にもできるかも」など,課題への自信を深めるためのよいモデルを見る場にもなり,対象者が自分なりの泳ぎ方を考えていく際に役に立つ.このような同じ状況にある人同士による相互作用は,お互いをエンパワメントすることにもつながっていく. 4「指導型」と「学習援助型」の考え方171セルフマネジメントとは

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