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学習目標 ● 加齢に伴って生じる食生活の変化に対するアセスメントと健康的な食生活のためのセルフケア支援方法を説明できる. ● 高齢者の脱水症の特徴を説明できる. ● 脱水症のアセスメント,看護と評価について説明できる. ● 高齢者の摂食嚥下障害の背景と特徴を説明できる. ● 摂食嚥下障害のアセスメントについて説明できる. ● 摂食嚥下障害をもつ高齢者の看護と評価について説明できる. ● 高齢者の低栄養状態の背景と特徴を説明できる. ● 低栄養状態のアセスメントについて説明できる. ● 栄養管理と評価について説明できる.(1)食生活 食べることは生命を維持するための基本的欲求であり,食生活はその人らしく生きるための社会的・心理的欲求でもある. 食事は生命や健康の保持増進という目的に加えて,身体的・心理的・社会的な意義がある.高齢者にとって,食事は家族や仲間との交流,コミュニケーションの場となり,生きがいにつながることである. 健康日本21では,国民の健康と生活の質の向上を図るために,「適正な栄養素摂取」「食の行動変容」「環境づくり」の三つの段階に分けて目標を設定している.その中でも特に,生活習慣病の予防のため,食生活の改善はますます重要となり,2000(平成12)年には新たな食生活指針が策定された(表1.1-1). また,総合的に国民の健康の増進を図るため,基本的な方針が見直された「健康日本21(第2次)」が,2013(平成25)年4月1日から適用された.(2)高齢者にとって必要なエネルギーと栄養 ●エネルギー● 加齢とともに,各臓器の機能や組織量が徐々に低下し,活動も緩慢になる.高齢者の身体活動レベルは一般にⅠで,活動量が多い人でもⅡ程度であり,年齢とともに日常の生活活動に必要なエネルギー量は低下する.70歳以上の高齢者では,男性1,850~2,200kcal,女性1,500~1,750kcalである(表1.1-2,表1.1-3).●栄養素とバランス●(表1.1-4) 東京都老人総合研究所による,高齢者が健康で長生きするための条件「元気で長生きするための十カ条」では,高齢者の食事に関する項目として「血清アルブミン値が高い」「血清総コレステロール値は高すぎず低すぎず」「太り方は中くらい」が挙げら 1 食生活を支える看護 1 食 事 血清アルブミン値血清アルブミンとは,血清タンパクの55~60%を占めるタンパク質のこと.組織と血液間の水,栄養素,代謝産物の移動に重要な役割を果たす.血清アルブミン値は,タンパク栄養状態の指標となる.■食事を楽しみましょう■1日の食事のリズムから,健やかな生活リズムを■主食,主菜,副菜を基本に,食事のバランスを■ご飯などの穀類をしっかりと■野菜・果物,牛乳・乳製品,豆類,魚なども組み合わせて■食塩や脂肪は控えめに■適正体重を知り,日々の活動に見合った食事量を■食文化や地域の産物を生かし,時には新しい料理も■調理や保存を上手にして無駄な廃棄を少なく■自分の食生活を見直してみましょう平成12年文部省,厚生省,農林水産省.表1.1-1●食生活指針12

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