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摂取量を9g(女性は7.5g)未満になるようにする.食欲を低下させないように塩分の量を控えるには,かつおやこんぶなどのだしを上手に使ったり,酢や香辛料を利用するとよい.季節もののユズ,ミョウガなど香りのある食材も,塩分を抑え食欲をそそる効果がある.(3)食事に影響を及ぼす要因 加齢に伴う食事に関する身体的・精神的・社会的影響には次のようなものがある.●身体面からの要因●<感覚器の低下> 食事を楽しむことには食べ物を味わうだけではなく,食器に盛り付けられた料理を目で見てその色合いや色彩を楽しむ,においが食欲をそそる,口に含んで食感を味わうなどの五感の感覚機能が関連している.高齢になると,この感覚機能も低下するが,これは味覚を感じる舌の乳頭や味み蕾らいの数が減少するためである.特に塩味の感覚が低下し濃い味を好むことが多くなる.また,嗅覚の低下による食欲への影響,視力低下による摂食動作への影響がみられることもある.<咀嚼・嚥下機能の低下> 加齢に伴い歯周疾患やう歯(虫歯)が増加し,歯の喪失がみられる.歯は20本以上あれば,ほぼ日常生活の食生活に支障をきたさないことから,厚生労働省では歯科保健対策検討会が設置され,2000(平成12)年度から歯科保健事業の円滑な推進体制を整備することを目的として,8020(ハチマル・ニイマル)運動推進特別事業が開始された.これは,平均寿命である80歳まで自分の歯を20本以上保つことを目標とする運動である. 2016(平成28)年の歯科疾患実態調査によると,自分の歯を20本以上もつ者の年齢階級別割合は,60~64歳では85.2%であるが,80~84歳では44.2%,85歳以上では25.7%となっている(図1.1-1).歯の喪失が多くなると咀そ嚼しゃく能力は低下し,総義歯では有歯者の咀嚼力の2分の1にまで低下するといわれている.義歯は歯肉の萎縮により合わないときもあり,また歯肉と義歯との間に食べ物が入り咀嚼しにくくなる場合もある. 加齢に伴う唾液腺の萎縮によって口腔内の唾液分泌の低下がみられ,嚥えん下げ機能も80歳では若年者の2分の1まで低下する.また,老年期になるとなんらかの薬剤を内服していることが多く,その影響で口腔内が乾燥し,嚥下に影響を与えることがある. そのほかに,口輪筋や咀嚼筋群の筋力の低下,舌の運動の低下,咽頭・喉頭の反射機能の低下,喉頭の筋群などによって支持されている支持組織の低下,喉頭下垂によって喉頭閉鎖が弱まり食道入口部が開大しにくくなること,気管支の線毛運動が弱くなることや知覚の低下,咳がい嗽そう(せき)反射が低下することなどが誤嚥の原因とな厚生労働省.平成28年歯科疾患実態調査.100806040200(%)60~6465~6970~7475~7980~8485歳以上(年齢)1993年(平成5)1999年(平成11)2005年(平成17)2011年(平成23)2016年(平成28)図1.1-1●20歯以上もつ者の割合151高齢者の生活を支える看護 1…食生活を支える看護

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