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学習目標 ● 加齢に伴って生じる食生活の変化に対するアセスメントと健康的な食生活のためのセルフケア支援方法を説明できる. ● 高齢者の脱水症の特徴を説明できる. ● 脱水症のアセスメント,看護と評価について説明できる. ● 高齢者の摂食嚥下障害の背景と特徴を説明できる. ● 摂食嚥下障害のアセスメントについて説明できる. ● 摂食嚥下障害をもつ高齢者の看護と評価について説明できる. ● 高齢者の低栄養の背景と特徴を説明できる. ● 低栄養のアセスメントについて説明できる. ● 栄養管理と評価について説明できる.(1)食生活 食事には単に生命を保持・増進するだけではなく,健康の保持・増進,食事の楽しみ,食事会などの身体的・心理的・社会的な意義がある.また,食べることは生命を維持するための基本的欲求であり,食習慣によってその人らしく生きるための社会的・心理的欲求でもある.さらに,老年期にある人にとって,食事は家族との交流,仲間との交流とコミュニケーションのよい場となり生きがいにつながる. 2000(平成12)年から21世紀における国民健康づくり運動として健康日本21が開始された.また,総合的に国民の健康の増進を図るため,基本的な方針が見直された健康日本21(第2次)が2013(平成25)年4月1日から適用された.その中で,生活習慣病を予防するため,食生活の改善がますます重要となり,2000(平成12)年に食生活指針が策定され,食生活に関する幅広い分野の動きを踏まえて2016(平成28)年に一部改定された(図1.1-1)1). 高齢者の食生活では,独居や高齢者だけの世帯になると,社会的孤立から外出する頻度も減り,運動不足により食欲低下し食事量が減少する.このような加齢に伴う生理的,社会的,また経済的問題は高齢者の栄養状態に影響を与え,低栄養状態に陥ることがある.また,低栄養の問題はフレイルとも関連が強くある. 健康な個人と集団を対象として,健康の保持・増進,生活習慣病の予防を目的に,エネルギーと栄養素の摂取基準として食事摂取基準がある.食事摂取基準は,食生活の変化や研究成果に基づき5年ごとに改定され,2020年版2)が発表されている.2020年版では,健康の保持・増進,生活習慣病の発症予防および重症化予防に加え,新たに高齢者の低栄養予防やフレイル予防が盛り込まれている.(2)高齢者にとって必要なエネルギーと栄養 ●エネルギー● 加齢とともに,各臓器の機能や組織量が徐々に減少し活動も緩慢になり,日常の生活活動量に必要なエネルギーは低下する.推定エネルギー必要量は,65〜74歳の高1 食生活を支える看護 1 食 事 ➡フレイルについては,ナーシング・グラフィカ『高齢者の健康と障害』1章3節参照.12

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