疾患として,糖尿病,慢性腎臓病(CKD)も取り上げています. 患者数の増加が見込まれ,国全体の課題となっている「認知症」については,さらに深い知識をもてるように記述を増やし,図表等も加えながら解説しました.認知症の看護は,人の尊厳や倫理的課題,本人が意思を十分に伝えられないときのコミュニケーション方法や情報の把握,自己決定など,高齢者看護の本質的な課題をたくさん含んでいます.認知症ケアを学ぶに当たって,重要なポイントを押さえた内容になっているといえます.さらに,認知症基本法の成立も視野に入れ,急性期医療や終末期における認知症高齢者への看護に必要な視点も養えるようにしました.また,認知症と関連して臨床場面で看護が困難とされている,うつ病やせん妄についても丁寧な記述としました. 治療を受ける高齢者の看護については,薬物療法,手術療法,リハビリテーションという構成にして,それぞれの臨床・臨地場面で重要となる看護のポイントをまとめています. 終末期の看護については,ターミナル期,臨死期,看取りといった時期において,高齢者,家族とどのように関わるかを解説し,看護師としての役割や考え方について述べています.また,終末期ケアと信仰についても考えが及ぶような記述を加えました. 高齢者看護の実習については,例を示しながら述べるという構成にし,学生の理解の助けになるよう具体的に関連図も示しながら,レイアウトも統一して記述しています.慢性疾患をもつ高齢者や周術期の高齢者,またリハビリテーション病棟,介護施設など,多様な場での実習を想定し,老年看護で大切にしたい,その人らしさを尊重するという目標志向型思考に沿って,健康課題の抽出から看護実践・評価まで詳しく解説しています. 老年看護学①と②を併せて活用いただき,よりよい看護実践によって高齢者がより質の高い看護を受けられること,最期まで尊厳をもった生活を送れることを願っています. 今後もますます内容の充実を図っていきたいと考えております.皆様からの忌憚のないご意見,ご感想をお寄せいただきましたら幸いです.編者を代表して 堀内 ふき
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