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 援助関係とは,健康に関わるニーズを有する子ども,およびその家族に対して,看護者が専門性を発揮し責務を果たしていくために結ぶ対人関係であり,一般的な人間関係とは異なる.援助関係を形成する上で,パートナーシップを確立することが重要である.パートナーシップとは,異なる立場の者(子ども・家族,看護者・医師など)が,お互いを尊重し,目標を共有化し,具体的な課題を協働して解決していくことである.小児看護に携わる看護者は,援助関係を形成する技術を活用して,子どもと援助関係を形成するとともに,家族とも援助関係を形成し,維持・深化させていく. ペプロウ(Peplau, H.E.)は,人間関係の看護論の中で看護者と患者の関係には,方向付け,同一化,開拓利用,問題解決の四つの局面があると述べている(図1.1-1) 3).これらの局面は継続的に互いに重なり合いながら進んでいく.子どもとの援助関係を形成する技術,家族との援助関係を形成する技術を活用して,子どもと看護者との援助関係,家族と看護者との援助関係を発展させていく(表1.1-1) 3). 1援助関係を形成する上で必要な基礎知識 1子ども・家族と看護者の関係性の発展方向付けの局面子ども・家族はなんらかのニードを感じ,専門的な援助を求めているが,すべてのニードが自覚されているわけではない.看護者は,子ども・家族が問題を認識し理解できるように,そして必要な援助を求めることができるように支援する.同一化の局面子ども・家族は,看護者を自分のニードに応えてくれる援助者として同一化する.看護者は,子ども・家族が病気体験を肯定的にとらえることができるように支援する.開拓利用の局面子ども・家族は,今まで築いてきた看護者との関係性を基盤に,看護者の知識や技術を活用して,健康に対する問題に取り組む.子ども・家族と看護者は協働して問題解決の目標を立て,計画を立てる.問題解決の局面必要に応じて目標が修正され,新しい目標が立てられる.看護過程の評価の段階になる.子ども・家族と看護者の関係の終結に向けて,子ども・家族は徐々に看護者との同一化の段階から抜け出し自立していくが,看護者に見捨てられるのではないかという不安が生じる場合がある.看護者は,子ども・家族の依存のニードを認識しながら,安心感をもって問題解決の段階を終結できるように支援する.表1.1-1●子ども・家族と看護者の援助関係の形成図1.1-1●看護者-患者関係H・E・ペプロウ.人間関係の看護論.稲田八重子ほか訳.医学書院,1973,p.22.より一部改変同一化の局面開拓利用の局面問題解決の局面方向付けの局面援助関係の形成 1, 2)ロジャーズは,援助関係とは一方の人が他方の人に対して少なくとも成長させ,発達させ,機能の働きをよくさせること,よりよく人生に対処していくことを促進させようという意図のある関係であると述べている.看護者は,保健師助産師看護師法などの法律や社会規範,病院等の規則などを基盤に,患者や家族と必要な人間関係(対人的相互関係)を発展させ,専門的な援助を提供する援助関係を形成する.14

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