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 子ども・家族との援助関係を形成していく上で,コミュニケーションは重要な要素である.子どもは,コミュニケーション能力の発達過程にある.したがって,看護者は子どものコミュニケーション能力をアセスメントしながら,子どもに応じたコミュニケーションをとる必要がある.一方,家族は,子どもの病気に伴う苦悩を体験している.家族がどのような状況にあるのかを十分理解した上で,コミュニケーションをとる必要がある.(1)コミュニケーションの構成要素 コミュニケーションは,①送り手,②メッセージ,③受け手,④フィードバック,⑤状況の五つの構成要素から成り立っている(図1.1-2). 看護者が子ども・家族の話を聞く場面では,[送り手]である子ども・家族が[メッセージ]を[受け手]である看護者に身振りや表情,言葉,文字などにより送る.[受け手]である看護者は,子ども・家族からの[メッセージ]の意味を「解釈」し,送り手の子ども・家族に[フィードバック]する.看護者が送り手の場合は,メッセージの送り手と受け手が入れ替わって同様のプロセスが展開される.このコミュニケーションのプロセスが繰り返されることにより,相互理解が深まる.コミュニケーションが行われる場や時間性,関係性などの[状況]が,コミュニケーションのプロセスに深く関与する 2).●子どもが送り手,看護者が受け手の場合● 子どもが送り手の場合(図1.1-3a),看護者に[メッセージ]を伝える能力は発達過程にある.子どもは,発達段階によりさまざまな方法で看護者に[メッセージ]を送る.看護者は,子どもの[メッセージ]を伝える能力の発達をアセスメントした上で,子どもから送られてきた[メッセージ]を解釈することが重要である.看護者が適切に解釈できているか,子どもに解釈した内容を[フィードバック]することにより確認する.●看護者が送り手,子どもが受け手の場合● 子どもが受け手の場合(図1.1-3b),看護者から送られた[メッセージ]の意味を解釈する子どもの認知能力は発達過程にある.子どもは看護者から送られてきた[メッセージ]を,認知能力の発達段階により独特な意味付けを行い解釈する.看護者は,子どもの認知能力の発達をアセスメントした上で,子どもが理解できるように[メッセージ]を送ることが大切である.さらに,子どもがどのように[メッセージ]を解釈したのかを尋ね,子どもが解釈したことを子どもの言葉で表現して[フィードバック]してもらうことにより,誤解を防ぐ.子どもからの[メッセージ],あるいは看護者が送った[メッセージ]に対する子どもからの[フィードバック]の中には,泣く,不機嫌な行動,怒り,拒絶など,看護者にとって対応しづらい反応もある.子ど 2援助関係を形成していく上で重要なコミュニケーション送り手状 況受け手メッセージフィードバック解釈図1.1-2●コミュニケーションの五つの構成要素151援助関係を形成する技術

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