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 妊娠すると,妊娠経過に伴って胎児は発育し,妊婦の身体は変化する.妊娠という負荷にうまく適応し,妊娠週数に応じた良好な健康状態であるかどうかを,経時的に観察しながらアセスメントを行う.胎児は母体によって生命を維持し,常に母体の影響を受けながら発育している.母体の健康状態と胎児の発育やwell-beingを関連させてアセスメントする. 妊婦への診察は,問診,視診,触診,聴診,計測診,内診などがある.問診以外はいずれも皮膚を露出してもらわなくてはならないため,常に妊婦への配慮を心掛け,露出を最小限にとどめ,プライバシーの保護に努めながら実施する.(1)目的・適応 問診では,妊婦の基本的情報および妊婦と胎児の健康状態に関連する心理的・社会的側面,妊娠生活の適応状態について,言語的に情報を得る.ヘルスアセスメントをより的確に実施するための情報収集であり,妊婦にとって貴重な受診をより有効なものとするための信頼関係を構築する機会でもある. 問診には,妊娠を確認するために産科外来を訪れる際に行われる初診時問診,妊婦健康診査(再診)時の問診,分娩が開始した際の入院時問診などがある.妊娠経過を踏まえて,それぞれの時期で優先される情報を得る.(2)準 備 問診用紙など.(3)実施方法(表1-1) プライバシーが保持できる場所と,ゆっくり話が聞ける時間を確保して行う.実施前には必ず実施者の氏名を名乗り,コミュニケーション技法を活用して,妊婦が言語的・非言語的に表現するありのままを受け止めるように努める.①初診時問診:妊娠を疑っている人には,それに関連した項目と基礎的情報や生活状況などを聞く. 1妊婦のヘルスアセスメント 1問 診初診時問診基礎的情報年齢,婚姻状態,家族構成,就労状況と労働負担,経済状況,住居環境など健康状態,妊娠・分娩 産褥歴など主訴(受診理由),月経歴,既往妊娠・分娩・産褥経過,身長・体重,既往歴・現病歴(服薬の有無),家族歴など妊娠前と現在の生活習慣など食生活,排泄,睡眠,運動,喫煙,飲酒などそのほか自己像,妊娠・出産・育児への思いや考えなど再診時問診母体の心身の健康状態,胎動の自覚(初期を除く),性器出血の自覚,浮腫・不快症状の有無,胎児の発育状態,社会的・心理的適応状態(妊娠の受容,母親役割の適応,バースプランなど),日常生活上の支障や不安など,妊娠リスクスコア(初期・後半期)表1-1●問診の内容妊婦健康診査の間隔母性,乳幼児の健康診査及び保健指導に関する実施要領に基づき,妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回,妊娠24週から35週までは2週間に1回,妊娠36週以降分娩までは1週間に1回の診査が勧められている.何のためにする?・妊娠経過に伴う妊婦と胎児の健康状態に関連する情報を得る・妊婦との信頼関係を築く14

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