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②再診時問診:前回の受診から今回までの間に起こった身体的,社会的,心理的状態を把握する. 初診時の問診では,妊婦自身が記入する問診票が活用される.妊娠初期や後半期には,妊娠リスクスコアを評価することもある.医療者だけでなく妊婦自身が自分の妊娠経過や分娩を評価することで,子育てに対する意識を高めたり,主体的に取り組めるようになる.(4)評 価①実施者は,不要な露出で妊婦に羞恥心を抱かせることなく,短時間で実施できる.②妊婦の身体的変化や胎児および胎児付属物の発育状態が正常な経過をたどっているかをアセスメントできる.③今後の日常生活や心理的・社会的健康状態に影響を及ぼすような潜在的な危険性がないかどうかアセスメントできる.(1)目的・適応 妊娠が正常に経過しているか,異常をきたしていないかを視覚的に把握する.妊娠の経過に伴う母体の適応状態は全身を注意深くみるが,妊婦には特に腹部の視診が重要である.顔面,上下肢も妊娠に伴って変化しやすいため,観察が重要である.(2)準 備 枕,掛け物(身体の露出を最小限にするために適宜覆う).(3)実施方法,評価 個人差があるため,妊娠経過を追って観察し,その経過を踏まえて評価する.●腹部の視診項目と評価の視点●形 態 卵円形か尖せん腹ぷく(腹壁が緊張して前方に強く突出)か懸けん垂すい腹ふく(下方に垂れ下がる)か.皮膚の状態①妊娠線(図1-1):妊娠28週ごろ以降,皮膚の深部結合組織が伸展・断裂することによって,下腹部の皮膚に長さ5〜6cm,幅5mm程度の線が出現する.なめらかで光沢があり,青赤色〜赤褐色を呈する.皮膚の乾燥・痒かゆみを伴うことがある.分娩後に退色・瘢はん痕こん化し,銀白色を呈した妊娠線のことを旧妊娠線といい,2回目以降の妊娠で新しくできた妊娠線を新妊娠線として分けて表現することもある.経産婦ではこれらが混在することもある.②妊娠性色素沈着:腹壁正中線(特に臍〜恥丘)や腋窩に生じる.分娩後,次第に消失するが,数年にわたって残ることもある.③発疹:妊娠中は基礎代謝が亢進することによって多汗となり,汗疹ができやすい.妊娠リスクスコア厚生労働省が作成したリスクの高い妊婦を判別するためのスコア.該当する項目の点数を加算して点数化し,判断する.妊娠初期用と妊娠後半期用がある.リスク状態によって,妊娠や分娩の経過をみる適切な施設の選定につなげることができる. 2視 診妊娠線旧妊娠線図1-1●妊娠線尖腹と懸垂腹腹部の形態は,胎児の大きさ,胎位などの胎児の状態と,母体の腹壁の緊張度や骨盤の形態等で異なる.胎位が縦位の場合は卵円形になることが多いが,尖腹や懸垂腹になることもある.尖腹は初産婦に多く,懸垂腹は経産婦に多い.何のためにする?正常に経過しているかどうかを視覚的に評価する・腹部の形態や皮膚の状態・浮腫・静脈瘤 など151妊婦の看護にかかわる技術

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