臍さい窩かの状態 増大した妊娠子宮によって押し出され，妊娠24週ごろから浅くなり，平坦化〜隆起することもある．浮 腫 胎児心音を聴取する際の器具や下着の圧痕として観察されることも多い．浮腫がある場合は，皮膚に光沢が生じることがある．静脈瘤 皮下を走行する静脈が拡張，屈曲，蛇行し，皮膚より膨隆して見えることがある．胎 動 妊娠末期の大きくなった胎児の四肢の動きが腹壁に伝わり，波立っているように観察される．●乳房の視診項目と評価の視点● 母乳育児の準備が進んでいる徴候として，乳房，乳頭・乳輪部がどのように変化しているかを把握する．乳房の形態，乳腺の発育状態，乳頭・乳輪部の形状，大きさを観察する．妊娠末期には，妊娠線がみられることもある．●上肢・下肢● 末梢血管循環量の増大による浮腫・皮膚の赤みなどがみられる．浮腫は，脛骨稜または足そく背はいを母指で圧し，圧痕が残るかどうかをさすって観察する． 下肢に静脈瘤を認めた場合は，腹壁や陰部・腟壁など他の部位でも確認する．浮腫が認められる場合には，妊娠高血圧症候群の症状（高血圧，タンパク尿）と関連付けて観察する．●顔 面● 妊娠を維持するためにプロゲステロン優位なホルモンバランスへと変化することによって，色素沈着をきたしやすく，そばかすがより黒っぽくなったり，妊娠性肝斑などが生じることがある．循環血液量の増加によって，歯肉に炎症や浮腫が生じやすくなる．（4）評 価①実施者は，皮膚の露出を最小限にして，妊婦の心理的負担が軽減するよう配慮して実施できる．②妊娠週数や妊娠経過を踏まえたアセスメントができる．（1）目的・適応 妊婦の腹壁上から胎児心音を聴取し，胎児が健康であるかどうかを判断する．聴取部位は胎児の子宮内での位置によって異なる．また，使用する聴診器の種類によって，母体の腹壁上から観察できるようになる時期が異なるので留意する．（2）準 備 枕，掛け物，聴診器〔超音波ドプラ装置（図1-2a），またはトラウベ桿かん状じょう聴診器（図1-2b）〕，超音波検査用ゼリー，ストップウオッチ．➡静脈瘤については，p.57参照． 3聴 診何のためにする？胎児心音を聴取し，胎児の状態が良好か評価する妊娠と歯周病・う歯妊娠中はエストロゲンの分泌が増大することによって，歯周病原因菌が増え，歯周病になりやすい（妊娠性歯肉炎）．また，唾液の分泌量が減り粘稠性が増すことによって，自浄作用が低下し，う歯になりやすい．初期のつわりの時期は，嗜好や食生活が変化するため，歯磨きを徹底しにくいことも原因となる．16
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