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(3)留意点 聴診器で聴取される音には,胎児由来の胎児心音・臍帯雑音・胎動音,母体由来の大動脈音・腸雑音などがある.妊婦の橈とう骨こつ動脈の脈拍で母体心拍を確認しながら聴診すれば,胎児由来の心音と母胎由来のものとを判別することができる. 聴診する方法には,超音波ドプラ装置とトラウベ桿状聴診器を用いる方法がある.超音波ドプラ装置は充電あるいは電源が必要であるが,胎児心音を容易に聴取できる.トラウベ桿状聴診器は,胎児心音の最良聴取部位をとらえて適切に聴取できれば,電源が不要なため,どんな場所でも実施できる.(4)実施方法 母体の腹壁上から胎児心音が最も明瞭に聞こえる部位(最良聴取部位,図1-2c)を探し,聴診器を当てて聴取する.最良聴取部位は,児背側の肩甲部に相当する位置で,胎児の子宮内での位置(胎位,胎向,胎勢)により異なる.●方 法●①妊婦に仰臥位で腹部を十分に露出してもらい,レオポルド触診法(➡p.20参照)で胎児の胎位・胎向を確認し,胎児心音の最良聴取部位を定める.②胎児心音の最良聴取部位に,超音波検査用ゼリーを塗布したプローブあるいはトラウベの妊婦側を密着させる.③胎児心音を聴取する.c.妊娠末期の最良聴取部位a.超音波ドプラ装置b.トラウベ桿状聴診器第2頭位(右臍棘線中央)第1頭位(左臍棘線中央)左上前腸骨棘第2骨盤位第1骨盤位ストップウオッチ右上前腸骨棘耳に当てる側腹部に当てる側d.トラウベを用いた聴取方法図1-2●胎児心音の聴取聴診器と使用時期超音波ドプラ装置は妊娠8〜9週ごろから,トラウベ桿状聴診器は妊娠17〜21週ごろから使用できる.胎位・胎向・胎勢胎児の子宮内での位置の表現.胎位:胎児の縦軸と子宮の縦軸の関係.例;頭位,骨盤位,横位など.胎向:胎背と母体の位置関係.例;胎背が母体の左側にある場合は第1胎向.胎勢:胎児の姿勢.例;屈位(屈曲胎勢), 反屈位(反屈胎勢).171妊婦の看護にかかわる技術

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