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[疫 学] 先天性凝固異常症の代表的疾患である血友病は,血友病Aと血友病Bに分けられる. 一般に血友病の発症頻度は男性5,000〜10,000人に1人で,厚生労働省「血液凝固異常症全国調査」(平成28年度報告書)での生存血友病患者数は,6,200人(血友病A:5,103人,血友病B:1,097人)である.(1)発症機序 血液凝固第Ⅷ因子の凝固活性が低下する血友病A,第Ⅸ因子の凝固活性が低下する血友病Bは,共に先天性の遺伝性疾患である.どちらもX染色体遺伝子上に異常がある伴性劣性の遺伝形式を示す.すなわち,典型的には血友病男性を父とする女児はすべてヘテロ接合体の血友病保因者となり,保因者を母とする男児の50%が血友病となる(図1.1-1).また,極めてまれな例だが,血友病の男性と保因者の女性との間に女児が生まれた場合,50%の確率で女性の血友病となる.しかし血友病患者の1/3程度は,家族歴のない突然変異で発症する.(2)分 類 血友病の分類は,①凝固因子活性が1%未満を重症,②1〜5%を中等症,③5〜15%を軽症とする.重症の場合は明らかな外力が加わらなくても出血症状を呈し,中等症では軽い外力によって出血症状が現れ,軽症では強い外力が加わった場合のみ出血症状が現れる.通常,重症度も遺伝によって規定される.(1)症 状 最も代表的な出血症状は関節内出血と筋肉内出血である.乳児期早期は動きが少ないため出血症状に気付くことがまれで,生後6カ月から2年ごろに発症が判明する.一般的に凝固因子の欠乏が強いほど,早くから症状が現れる.●関節内出血● 関節内出血は,肘関節や膝関節など多くの関節で生じる.関節の違和感から始まっリンク 病態生理学 造血機能障害/免疫機能障害 1血友病(hemophilia) 1疾病の概念 2診断と治療乳幼児期の症状9〜10カ月ではいはいが始まると,膝に黒ずみ(溢血斑)が出現する.関節内出血は1年経ち歩けるようになってから現れる.X*YXYXYXYXX*XX*XYX*YXX*X*X*X*X*XXXXX*YXX*XYXYX*YXXXX*XX*男性女性X*YXX*血友病患者血友病保因者図1.1-1●血友病の遺伝形式● 血液の凝固と線溶〈動画〉コンテンツが見られます(p.2参照)12
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