308010133
10/14

 リハビリテーション(rehabilitation)は日常的にもよく使われている言葉である.本来の意味をランダムハウス英和大辞典第2版でみると,「社会復帰,(犯罪などの)更生,名誉回復,復権,復職,復位」と書かれている1).そもそもrehabilitationとは,「re」(再び)「habilis」(適した,ふさわしい)「ation」(~にすること)という意味であり,人が人としてふさわしくない状態に置かれたときに,再びふさわしい状態に戻すことを示している. 1981年にWHO(世界保健機関)は,「リハビリテーションとは,能力障害あるいは社会的不利を起こす諸条件の悪影響を減少させ,障害者の社会統合を実現することを目指すあらゆる手段を含むものである.リハビリテーションは,障害者を訓練してその環境に適応させるだけでなく,障害者の直接的環境および社会全体に介入して社会統合を容易にすることを目的とする.障害者自身,その家族,そして彼らの住む地域社会は,リハビリテーションに関係する諸種のサービスの計画と実施に関与しなければならない」と定義を示し,障害者を「社会で生活する人」として位置づけたリハビリテーションの意義を述べている. 佐々木は,障害とは「ライフスタイルの選択が制限された状態」であり,リハビリテーションとは「障害者とそれを取り巻く人とがその人の人生の質を高めるために行う共同作業である」と述べている2). リハビリテーションの対象者とは,なんらかの障害をもちその人らしく生きることが困難な人である.障害のために毎日の生活が不自由になり,その人らしく生きることが困難になっているときに,その障害を少しでも軽減または克服し,自らの価値観や考えに基づき自分らしく生活するために,適切な知識や技術を身につけられるようにリハビリテーションが行われる.看護者が行う援助の方向性や関心は,障害ではなく「生活をしている人」に向けられるべきであり,障害者(impaired person)ではなく障害をもった人(a person with handicapped)として,人(person)に看護の焦点が当てられなければならない.(1)障害の分類 障害を大きく分けると,身体障害と精神障害に分類される.障害が身体のどこにあるかで考えると,身体障害と内部障害に分けられる.身体障害は,肢体不自由と聴覚・視覚や言語などの感覚器の障害に分けられる.内部障害とは身体内部の臓器の障害であり,腎臓や心臓,肝臓,肺などの機能障害である. 障害が先天性のものか後天性のものかによっても分類できる.先天性障害とは出生前あるいは出生時に起きた障害のことであり,後天性障害(中途障害)とは,生活機能を習得した後で不慮の事故,手術,加齢などによって起きた障害をいう. 1リハビリテーションとは何か 1リハビリテーションの定義と考え方 2リハビリテーションを必要とする人とは内部障害身体障害者福祉法では,肢体不自由などの外部障害とは別に,体の内部の障害(心臓・腎臓・呼吸・膀胱・直腸・小腸などの機能障害,HIVによる免疫機能障害,肝臓機能障害)を内部障害と定めている.12

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る