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本書『脳・神経機能障害/感覚機能障害』改訂版では,わかりやすくかつ充実した内容となるようさまざまな工夫を行いました. まず,脳・神経領域は苦手だ,わかりにくいなどの多くの看護学生さんの意見から,脳・神経系で用いられる専門用語を平易な言葉でいい直しながら,かつ深く詳しく解説しています.そのため専門性は十分維持した内容となっています.さらに,人体の機能障害のどの部分を学習しているのかが一目でわかる図解や,本文においては随所に臨床場面が想像できるようなイラスト入りの図,わかりやすい表を挿入し,視覚的に理解できるよう心がけました.さらに,疾患とその患者の看護のみでは脳・神経疾患患者の病態を十分に説明できない欠点を,特徴的な症状とその看護を加筆することで,脳・神経疾患患者の理解とその看護の幅と深まりが増したテキストとなりました. 1章の脳・神経系の構造・機能とその障害では,解剖学的な理解の上に,正常な機能と障害の理解を図れるようにしました.2章では,特徴的な脳・神経疾患を解説しています.3章の1節では主な疾患と看護,2節では脳・神経疾患に特徴的な症状とその看護を取り入れています.この疾患と看護,特徴的な症状と看護の二つが同時に系統的に書かれている教科書は本書のみです.疾患と看護,特徴的な症状と看護の二つを見比べながら臨床で遭遇する患者さんに対応していくことで,病態と看護方法の理解がより深まっていくものと確信します.さらに,4章では事例を用いたアセスメントと看護計画立案の実際を紹介しています.急性期は脳梗塞患者,くも膜下出血患者,慢性期は頭部外傷による慢性硬膜下血腫患者を取り上げ,臨地実習への橋渡しとなる内容をふんだんに盛り込みました.5章においては,感覚機能障害と看護について,特徴的な疾患と看護を紹介しています. 本書は,看護学生の講義や実習でのテキストとして活用するだけでなく,新人看護師,あるいは新人看護師を指導する指導者用資料として,さまざまな学習状況で活用していただけるものと考えています.徳島大学大学院医歯薬学研究部保健科学部門教授田村綾子はじめに
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