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(1)症状 出生直後から生後4〜6時間以内に呼吸窮迫症状(60回/分以上の多呼吸・吸気時の陥没呼吸,横隔膜優位の腹式呼吸,呻しん吟ぎん,チアノーゼ,換気障害など)を呈する.出生直後は症状がはっきりしないが,1時間ほどの経過で症状が進行することもある.(2)診断 早産児(在胎週数)の確認,呼吸窮迫症状,マイクロバブルテストなどによる肺サーファクタント欠乏の証明,血液ガス所見,胸部単純X線検査などにより総合的に診断する.ただし,すべてを証明していなくても,早産児で疑わしい症例には人工肺サーファクタント投与を予防的に行い,その効果で判断する場合もある.早産児で出生直後に挿管・人工呼吸管理を開始した場合には呼吸窮迫症状が隠されてしまうため,必要酸素濃度,呼吸器の設定,胸部単純X線写真などから診断や重症度を推測する.●胸部単純X線検査● 胸部単純X線検査では,広範囲の無気肺の結果として肺野の透過性の低下・網状顆粒状陰影や気管支透亮像,肺容量の低下が認められる.●マイクロバブルテスト● マイクロバブルテストでは,羊水または出生直後の児の胃内吸引物を泡立てて,小さい気泡(マイクロバブル)の安定性をもとに肺サーファクタントの有無(RDS)を診断する.マイクロバブルの数が極端に少ない場合にはRDSと診断するが(陽性予測率100%),マイクロバブルの数が多くてもRDSの発症は起こりうる.羊水または胃液に血液が混入した場合には,診断率は低下する. 2診断と治療陥没呼吸吸気時に肺の陰圧が増すと,新生児では肋骨間の組織が軟らかいため,肋間部や胸骨下などでも陥没がみられる.呻 吟呼気時に聞かれるうめくような呼吸.新生児でみられる呼吸障害症状の一つである.肺が虚脱しないように呼気時にも肺に圧をかけている状態.ⅠⅡⅡⅢⅢⅣⅣ図1.1-1●呼吸窮迫症候群の胸部単純X線写真による分類(Bomsel分類)●新生児呼吸窮迫症候群−治療現場から〈動画〉151新生児疾患

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