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1) RDS by gestational age. Neonatal Research Network Database in Japan. 〈http://plaza.umin.ac.jp/nrndata/reports/nrn4_all.pdf〉,(参照2017-11-20).2) Rennie, JM. “Respiratory distress syndrome”. Rennie & Robertson’s Textbook of neonatology. 5th edition. Churchill Livingstone, Elsevier, London, 2012, p.468-485.3) 長和俊.“呼吸窮迫症候群”.小児疾患診療のための病態生理2.第4版.小児内科.2009,(41)増刊,p.118-123.4) 名越廉.“呼吸窮迫症候群”.小児臨床看護各論.第12版.医学書院,2011,p.30-31,(系統看護学講座 専門分野Ⅱ 小児看護学2).5) 川戸仁.“呼吸窮迫症候群とは”.新生児の診療・ケア Q&A 早産・ハイリスク編.内山温編.Neonatal Care.2014春季増刊,(359),p.192-195.引用・参考文献1早産児肺サーファクタントボムセル分類(Bomsel分類)マイクロバブルテスト人工肺サーファクタント補充療法重要用語[疫学] 胎便吸引症候群(meconium aspiration syndrome:MAS)の発症頻度は,ヨーロッパの報告では出生1,000人あたり0.2〜1人,北米の報告では出生1,000人あたり2〜5人である.ニュージーランドでの調査では,出生1,000人あたり0.43人の発症頻度で低下傾向にあり,34%は在胎40週以降で,51%に胎児機能不全所見を認め,42%が帝王切開にて出生していた(1995〜2000年調査).(1)発症機序 胎児期に,妊娠高血圧症候群,胎盤機能不全,過期産,遷延分娩等,何らかの原因で胎児が低酸素や虚血状態に陥ることにより(胎児機能不全:non-reassuring fetal status),また消化管蠕動亢進と肛門括約筋の弛緩が胎便の羊水内への排泄を促し,胎内でのあえぎ呼吸様運動もしくは生後の呼吸開始によって混濁した羊水を気道内に吸い込むことにより発症する. 全妊娠の8〜22%に羊水混濁が認められており,羊水混濁の存在のみではMASは発症しない.胎便を排泄した児の約5%が胎内,もしくは分娩中に混濁した羊水を吸引し,MASを発症する.正期産や過期産児に多く,排便反射が確立されていない在胎36週未満の早産児では発症が少ない.(2)病態変化 胎便による気道閉塞に伴う無気肺や,不完全な気道閉塞によるチェックバルブ作用(気流が肺胞方向には入るが排出されない)によるエアリーク,胎便によるサーファクタント不活化や生成阻害,胎便などによる肺血管攣れん縮しゅく,化学性肺炎,肺浮腫などにより強い換気・酸素化障害を引き起こす.エアリークが強い場合には呼吸不全だけではなく循環不全も呈する(緊張性気胸).また仮死,低酸素,アシドーシスなどによる心不全や,出生後急激に陥る生理的な肺血管抵抗の低下機序の破綻による新生児遷せん延えん性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn:PPHN)を 2胎便吸引症候群(meconiumaspirationsyndrome:MAS) 1疾病の概念化学性肺炎ウイルスや細菌等による肺炎を感染性肺炎と呼ぶのに対して,化学性肺炎とは何らかの有毒な物質を気道内に吸い込んだ場合に発生する肺の炎症である.胃酸による誤嚥性肺炎が有名である.本稿では胎便成分の誤嚥による肺の化学的炎症による肺炎を指す.(p.141 表6.7-5参照.)胎児機能不全子宮内において,胎児の呼吸および循環機能が障害された状態.従来,胎児仮死,胎児ジストレスと呼ばれていた用語は,現在は使われていない.171新生児疾患

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