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 小児は重篤な疾患を発症していても,初期には発熱,不機嫌などの一般的な臨床症状しか呈さないことが少なくなく,初期診療後,急速に病態が深刻化することがあります.疾患を抱えた子どもの保護者は,インターネット等で調べた知識を豊富にもっていることも多いため,小児のみならず保護者とも対峙しなければならないことに苦手意識をもち,小児医療を敬遠する医療従事者も少なくありません. しかし,わが国では確実に少子化が進行しています.日本の将来を担う子どもたちの救命は国の最重要課題です.さらに,障害を残すことなく,あるいは障害が残ってしまったとしても,残された機能を最大限発揮して生きていけるよう,小児を支援する治療・ケアが期待されています.小児医療に関わる医師だけでなく,看護師をはじめとする医療スタッフにも,高度かつ専門的な知識と技術が求められているのです. 15歳未満の小児人口は減少し続け,また予防接種の普及により,看護実習において典型的な小児疾患に接する機会も減少しています.しかし,いざ臨床の現場に立てば,目の前の苦しむ子どもに対して適切なアセスメントと診断,処置,治療が必要となります.立ち止まっている余裕はありません. 「小児医療の特徴は総合診療である」といっても過言ではないでしょう.なぜなら,出生直後の新生児から思春期までの患者さんを縦断的に,かつすべての臓器を横断的に診療する必要があるからです.  本書では,小児疾患の正しい理解が深い看護の実践につながるよう,臨床所見を示す写真・画像・動画を豊富に示すことにより,視覚的に学ぶことができるよう配慮しました.また,小児看護では疾患の病態・検査・治療の理解も重要となるため,最新の知見を含めた豊富な内容を執筆いただきました.結果,本書は小児看護に携わる医療従事者,看護学生はもちろんのこと,初期臨床研修医や医療スタッフにいたるまで,小児医療を学び実践するすべての職種の教育に有用な教科書に仕上がりました. 貴重な臨床所見を示す写真および画像を提供してくださった患者さん,そして各執筆者の先生方に深く感謝いたします.本書が多くの読者に愛用され,わが国の小児看護,小児医療の発展に寄与することを祈っています.中村友彦はじめに

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