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14 家庭訪問によって,療養者・家族の生活習慣や価値観をとらえることができ,療養者・家族に適した支援が可能となる.医療と生活の双方をみる看護師だからこそ,療養者・家族の心身の状況に加え,病気に対する理解度,経済状況,自宅周辺の環境や家屋の状況などを総合的にアセスメントし,療養者・家族に応じた看護支援によって,生活の場に医療ケアを根付かせることができる.その結果,療養者は病気や障害があっても,今まで築き上げてきた家,すなわち自分らしさに満ちあふれた空間で,最期まで自分らしい生活を営み続けることが可能となる. 訪問看護の対象は,年齢,性別,家族構成や健康レベルにかかわりなく,すべての在宅療養者および家族である. 訪問看護導入時の療養者・家族は,必ずしも訪問看護の継続を希望しているわけではなく,訪問看護師に対するイメージも多種多様である.退院時に,医師,介護支援専門員(ケアマネジャー),退院調整看護師およびメディカルソーシャルワーカー(MSW)に訪問看護による支援を勧められた場合には,初回訪問時に看護師への良いイメージや期待を抱き,「ぜひ看護師に任せたい」と言われることがある.一方で,医療のニーズが高くても看護支援がもたらす成果・効果がわからない場合は,「訪問介護員(ホームヘルパー)がいれば十分ではないか」「看護師と訪問介護員の違いはあるのか」など,療養者・家族が訪問看護の導入に対して懐疑的な態度を示したり,導入を拒否したりすることもある. 初回訪問の目的は,療養者・家族の望む生活の継続や獲得を目指し,適切な看護を提供できるよう信頼関係を構築することであり,訪問看護の導入において最も大切な機会である. そのため,初回訪問時は,療養者・家族の話し方や家の状況から生活習慣や価値観をとらえる.そして,声の大きさや話すスピード,言葉遣いを同調させるなどの技術を用いて,安心できる空間を作り上げる.療養者・家族の語りが途切れない場合は,2時間以上かけて傾聴することもある.初回訪問に費やす十分な時間によって,療養者・家族の信頼が獲得できると,心身,社会的なニーズだけでなく,スピリチュアルなニーズを早期に得ることも可能になる. さらに,療養者・家族の顕在的・潜在的ニーズとその優先順位を短時間で的確に把握し,訪問看護の継続的導入の意義を理解してもらえるように説明する.また,訪問看護でできることとできないことを明確に伝えることで,信頼関係を構築していく. 1家庭訪問・初回訪問 1家庭訪問の意義 2訪問看護導入時の療養者と家族 3初回訪問の目的と配慮→2章1節も参照.
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