308010220
16/18

16(2)倫理と心構え 訪問看護を行う看護師は,基本的に一人で療養者の家庭を訪問し,療養者や家族のさまざまな情報を知ることになる. 信頼関係を構築し,適切なケアを提供していくためには,療養者・家族を尊重する「自律の原則」,福利を与える「善行の原則」,リスクを予防し危害を与えない「無害の原則」(「無危害の原則」),平等に公平に行う「正義の原則」,真実を告げる「誠実の原則」,秘密や約束を守る「忠誠の原則」,の六つの倫理が大切になる.しかし,認知症などで療養者に真実を告げることが適さない場合や,癌の告知を家族が望まない場合など,すべての倫理を遂行できない場合もある.その場合は,「効用の原則」を用いて,最大の幸福を得られるように努める必要がある. また,看護師の態度やマナーは,看護導入や継続に大きな影響を与える.倫理原則に照らした態度や行動をとることが重要である.そして,行動の一つひとつを丁寧に伝えて,療養者に納得してもらいながら,看護ケアを提供する.(3)リスクマネジメント 家庭訪問においても,感染症予防対策として,スタンダードプリコーションの厳守が基本となる.さらに,看護師が他の療養者に媒介するリスクを極力減らすために,感染状態にある療養者をその日の最終訪問先とするなど,訪問の順序を配慮する. また,訪問看護において注意しなければならないトラブルとして,情報漏ろう洩えいがある.病院と異なり,療養者の情報を共有するためにカルテ情報を電子機器に保存して自宅に持ち帰ることがあるので,盗難・紛失には厳重な注意が必要である. 破損事故,針刺し事故や交通事故を予防し,看護師自身を守ることも大切である.効用の原則人が行動するための意思決定をする場合に,その決定に基づいた行動がどのような結果をもたらすかということを考慮しなければならない2).このように,行動の結果を予測する原則が「効用」の原則であり,よりよい結果を予測して行動することが求められる3).記録ノートエプロン血圧計軟膏手袋耳温度計体温計テープ消毒・滅菌ガーゼカテーテル類聴診器消毒薬消臭スプレー防水テープ訪問時の服装.●訪問の準備〈動画〉訪問かばんとその内容.訪問先によって内容は異なる.液体石けん,使い捨て紙タオル,ゴミ袋なども持参することが多い.訪問は自転車や自動車で行うことが多い.公共交通機関を利用する場合もある.コート類は家の外で脱ぐ(写真は雨合羽).

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る