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 我が国では,進展する高齢化の中,地域包括ケアシステムを基盤に,病院から暮らしの場へ,生活を重視した地域完結型の医療へと,在宅ケアが推進されています.また,高齢化に伴う国民の健康課題として,健康寿命の延伸,介護予防,重症化予防が挙げられています.このような中,看護職には,地域包括ケアシステムの一員として,人々の生活を支える看護特有の視点を前提に,予防から医療ケア,地域で支え合う仕組みづくりと,多岐にわたる役割がますます期待されています. 看護師基礎教育において統合科目として位置付けられる『在宅看護論』は,社会の動向に最も影響を受けやすく,複数科目の知識・技術を応用・統合しながら実践を展開する特徴があります.『保健師助産師看護師国家試験出題基準 平成30年版』では,「小児・認知症・精神疾患・難病等の特徴的な疾患がある療養者」,および「医療管理を必要とする人」と,対象者のさらなる拡大,「療養の場の移行」や「地域包括ケアシステムにおける多職種連携」では看護の役割と機能の拡充が示されました. つまり,今後の在宅看護実践では,“個のケア”である療養者や家族への直接のケア,また,在宅ケアチームの一員としての役割を担うことはもちろん,“地域包括ケアシステム”全体を見渡し,ケアチームを構成する,必要な地域の資源を創出するなど,在宅看護ならではの役割や機能が期待されています.そして,その実現のためには,確かな看護技術を基盤とした多職種と協働する力,社会資源を活用する力,地域での支え合いをつくり出す力など,多岐にわたる実践力が求められているといえるでしょう. このような背景から,さらに生活モデルかつ地域完結型を見据えた,次世代の看護職の育成に役立てられるよう,在宅看護ならではの技術に焦点を当てた本書を刊行することとなりました. 1章では,在宅療養を支えるために基盤となる家庭訪問や在宅看護過程の技術を取り上げました.2章では,在宅で特に重視される基本的な技術について,在宅ならではの見立てや方法に焦点を当てました.3・4章は,在宅看護の核となる概念であるセルフケア,自立支援,リスクマネジメント,社会資源の活用などを軸にし,3章は日常生活を支える看護技術,4章は在宅療養を支える医療ケアを,実践に即して説明しています.5章では,近年,看護の役割機能の中でも重視されている災害対策を取り上げました.ここでは,在宅療養者やその家族への災害対策をはじめ,看護職自身の安全確保や,看護職が地域の中で求められる役割やはじめに

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