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30相対的欠格事由 相対的欠格事由に該当する者には,免許付与者の判断によって免許が与えられないことがある.①心身の障害によりその医療スタッフの業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの(視覚,聴覚,音声機能もしくは言語機能または精神の機能の障害により当該業務を適正に行うに当たって必要な認知,判断および意思疎通を適切に行うことができない者),②麻薬,大麻またはあへんの中毒者,③罰金以上の刑に処せられた者,④その医療スタッフの業務に関し犯罪または不正の行為のあった者がそれに当たるが,各医療スタッフの資格を規制する法律により,若干の違いがある(表1.1-1).●免許の付与●免 許 積極的要件・消極的要件を満たした者(すなわち,所定の試験に合格し,欠格事由のない者)の申請があった場合,免許付与者である厚生労働大臣(あるいは都道府県知事)より「免許」が与えられる. 免許は,それぞれの医療スタッフの身分を公証するための公籍(例えば,医師については医籍,看護師は看護師籍,理学療法士は理学療法士名簿)に所定の事項を登録することによって行われる.免許証 免許を与えられた者には,それぞれ免許証が交付されるが,これはそれぞれの公籍への登録を証明する文書にすぎない.免許という行政行為は所定の公籍への登録によって終了しているので,各医療スタッフの身分は公籍に登録した日から発生する.したがって,例えば免許証がまだ届いていない場合や,紛失等によって現実に免許証を所持していない場合であっても,適法にそれぞれの業務を行うことができる.●行政処分●相対的欠格事由に該当する場合 相対的欠格事由のいずれかに該当するにいたったとき,加えて,医師・歯科医師・薬剤師,看護師等については,「品位を損するような行為」があったとき,免許付与者は裁量によって次のような行政処分をすることができる.相対的欠格事由の見直しかつて看護師については,「素行が著しく不良である者」,「伝染性の疾病にかかつている者」が相対的欠格事由として規定されていたが,これらの者についても,平成13年の法改正によって削られた.免許付与の流れ受験資格を取得→各医療スタッフの資格試験を受験→試験に合格(積極的要件)→免許申請→(消極的要件を持っていない)→免許付与:所定事項を公籍(籍ないし名簿)に登録→免許証の交付看護師籍への登録事項①登録番号・登録年月日,②本籍地都道府県名・氏名・生年月日 ③性別,④看護師国家試験合格の年月,⑤行政処分に関する事項,⑥行政処分を受けた者・再免許を受けようとする者については再教育研修を修了した旨,⑦その他再免許・免許証書換交付等の厚生労働大臣の定める事項となっている. 相対的欠格事由①は,かつて「精神病者」としてのみ規定されていたが,平成13年に本文のように改正された.なお,免許申請者が相対的欠格事由①に当てはまる場合,免許付与者は,その者に免許を与えるかどうかを決定するときは,その者が現に利用している障害を補う手段または現に受けている治療等により障害が補われ,または障害の程度が軽減している状況を考慮しなければならないとされている.相対的欠格事由①に当てはまることを理由に免許を与えない場合,免許付与者は,あらかじめ,その旨を申請者に通知し,その者の求めがあれば,意見の聴取をしなければならないことになっている.申請者への通知と意見の聴取➡成年被後見人,被保佐人の取扱いについては,コラム「成年被後見人等の欠格条項の見直しに関する法律」(p.306)参照.

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