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 ナーシング・グラフィカ母性看護学の初版から10年以上が経過しました.その間に母性看護を取り巻く社会情勢は大きく変わり,看護基礎教育において,生命をめぐる倫理的・法的・社会的課題が大きく取り上げられるようになっています. このたび本書を大幅改訂し,中心テーマを「いのちの創造」の看護学として,母性看護学①『概論・リプロダクティブヘルスと看護』,母性看護学②『母性看護の実践』,母性看護学③『母性看護技術』の3冊の構成といたしました. 新たな試みとして,本書『母性看護の実践』では,妊娠期,産褥期,新生児期の生理的変化の経過を視覚的にとらえることができるよう,巻頭に経過図を掲載しました.それにより,妊娠・分娩・産褥・新生児の各期における基本的な知識を体系的によりわかりやすく解説できたと思います. 母性看護学の臨地実習を行う病院は,二次あるいは三次医療圏といったハイリスク妊産婦に対応する医療を提供する病院が含まれることが多く,そこでは,ハイリスク妊産婦・新生児に対する知識や看護が求められます.本書では,妊娠・分娩・産褥・新生児の各期における病態の理解が深まるよう異常に関する内容を充実させました.また,母性看護実践の基本となる知識の解説にとどまらず,ウエルネスの視点である「より良い状態を目指す看護の基本」を具体的に記述するよう心がけました.さらに,特殊なニーズをもつ妊産婦と家族への支援として,特定妊婦,不妊治療後の妊娠,外国人妊産婦への母子支援,災害時の母子支援を取り上げました. 新しいナーシング・グラフィカ母性看護学は,これら3冊を連動させることで従来の教科書と比べてより学びを深められるよう編纂しました.学生の皆さんが,学内の事例学習や臨地実習で,アセスメントやケアプランの立案がわからない,あるいは迷ったときに,ナーシング・グラフィカ母性看護学の3冊は,学習の支えとなるはずです.それでも不足する部分は,医学専門書を活用してください. 学ぶことはひとを成長させてくれます.妊産褥婦と新生児に対する看護師の価値観や,看護の果たす役割を考えるテキストになれば幸いです. 最後に,執筆の諸先生方,編集部の皆さまのお力添えのたまもので本書が出版されることに感謝申し上げます.小林 康江はじめに

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