るシャントの原因として，主に卵らん円えん孔こう開かい存ぞん＊，心房中隔欠損，心室中隔欠損などの心疾患が挙げられる．肺内にあるシャントの原因として，無気肺や肺水腫などの肺胞疾患，肺動静脈奇形などの血管疾患が挙げられる．いずれも肺に到達した血液が酸素を受け取れない病態のため，シャントによる呼吸不全の患者は，酸素を投与してもなかなか酸素化の改善は見込めない特徴がある．換気血流比不均等（V/Qミスマッチ） 換気血流比不均等（V/Qミスマッチ）とは，肺胞での換気量と血流量の釣り合いがとれていない病態である．換気量に問題ないが血栓などの血流障害が存在している場所や，血流は障害されていないが肺胞の障害などで換気量が不足している場所など，効率の良いガス交換ができない場所が増えることを示す．典型的な疾患として，肺炎や，肺塞栓症，心不全，急性呼吸窮迫症候群（ARDS）などがある．肺胞低換気 肺胞低換気とは，呼吸運動の障害により肺胞での空気の出し入れが十分にできておらず，分時換気量＊の低下を来している病態である．二酸化炭素の排出は分時換気量の影響を受けやすいため，高二酸化炭素血症を来すⅡ型呼吸不全の主な原因であることが多い．中枢神経障害や呼吸筋疲労による呼吸運動障害，気道狭窄などが典型疾患として挙げられる．卵円孔開存卵円孔とは，胎児循環（胎盤を通して胎児がガス交換などを行うこと）の際，心房中隔に空いている生理的な孔である．出生後は閉鎖して卵円窩となるが，20％前後で卵円孔が残存するとされる．そもそもの心房中隔の低形成ではない点で，心房中隔欠損症とは異なる．卵円孔開存では，正常時にはシャントは生じないが，いきみなどで右房圧が上昇すると，一過性に右左シャントを生じる．分時換気量1分間あたりに肺を出入りするガスの量．一回換気量と呼吸数の積で求められる．＊図5-1■呼吸不全の原因CO₂O₂O₂CO₂CO₂CO₂CO₂O₂O₂CO₂CO₂CO₂O₂CO₂CO₂CO₂O₂CO₂O₂O₂O₂CO₂O₂CO₂O₂CO₂CO₂CO₂O₂CO₂O₂CO₂O₂CO₂CO₂CO₂CO₂CO₂CO₂高二酸化炭素血症を来す拡散障害正常シャント換気血流比不均等(V/Qミスマッチ)肺胞低換気肺胞毛細血管酸素の移動が妨げられる酸素を受け取れないルートができる血流量の釣り合いがとれていない空気の出し入れが不十分間質の肥厚110
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