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5呼吸不全 以上を踏まえて,呼吸不全は肺に問題がなくても,中枢神経や気道,呼吸筋,循環器系統などに問題があれば起こることに注意する.急性呼吸不全2acute respiratory failure1急性呼吸不全とは1急性呼吸不全の病態・検査・治療 呼吸不全が短い期間で急速に発生した(進行した)ものを,急性呼吸不全という.急性呼吸不全と慢性呼吸不全は,ほかにも,PaCO2とpHとの関係性から区別できる.典型的な急性呼吸不全では,PaCO2の上昇に反応してpHが減少する.一方で,慢性呼吸不全では,PaCO2の上昇にもかかわらず,pHは7.35から7.45の間を推移する.酸塩基平衡は,呼吸のほかに腎臓でも調整が行われている.pHが正常範囲にとどまるのは,腎尿細管でHCO3-の再取り込みを増加させ,代償できているためである. 急性呼吸不全の治療では,急性呼吸不全に至った基礎疾患の治療を行う.加えて,気道確保,低酸素血症の改善,余剰二酸化炭素の排泄の三つを基本とした支持療法が必要になり,その一環として,人工呼吸管理が必要となることもある.また,ARDSなど,肺のガス交換機能が著しく障害されている症例では,体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenator:EエクモCMO,図5-2)肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO2) 肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)について考えてみよう.A-aDO2とは血液が肺胞の酸素をどれほど取り込めているかの指標である.肺胞に到達した酸素はすべて血液に取り込めるわけではなく,肺胞内の酸素分圧と肺毛細血管の酸素分圧には差が生じている.A-aDO2が高値を示すと,肺胞や毛細血管レベルで障害が起こっていることになる.ただし,A-aDO2の基準値や計算方法は年齢や酸素投与によっても変わるため,参考程度の評価にとどめておくのが良いと考えられる(表).表■呼吸不全の分類と特徴拡散障害シャントV/Qミスマッチ肺胞低換気酸素投与への反応+−++PaCO2の上昇−−−*+A-aDO2の上昇++++代表的な疾患・間質性肺炎・心疾患などの解剖学的異常・無気肺・肺水腫・肺炎・肺塞栓症・心不全・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)・神経筋疾患・気道狭窄*著明な死腔増大を認める場合には,PaCO2が上昇する.Column111

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