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5口腔・歯科・頭頸部の疾患口腔内の疾患11口内炎 stomatitis1口内炎とは1病態 口内炎は口腔内の舌,頰粘膜,歯肉などに発生する炎症性病変の総称である.原因によって症状や治療法が異なる.種類としてはアフタ性口内炎,ウイルス感染やカンジダ症による口内炎,その他口腔扁平苔たい癬せんなどがある.2症状 口腔内の患部にびらんや潰瘍,水疱を生じ,周囲は発赤や疼痛を伴うことが多い.発熱や倦怠感などの全身症状を来すこともある.口腔癌の初発症状として治癒しない粘膜潰瘍を生じることもあるため,難治性口内炎は注意が必要である.3診断・治療アフタ性口内炎 「アフタ」とは直径数ミリの円形の有痛性の潰瘍で,表面は灰白色の偽膜で覆われ,潰瘍の周囲は赤くなる(図5-1).アフタ性口内炎は,最初接触痛が強いが,特に処置を行わなくても1~2週間で治癒する.治療は副腎皮質ステロイド含有の軟膏,含嗽薬,口腔粘膜貼付錠を使用する. 再発を繰り返すアフタ性口内炎を再発性アフタと呼び,ベーチェット病の一症状として再発性アフタがある.ウイルス性口内炎 ウイルス性口内炎は,単純性ヘルペスウイルス,水痘帯状疱疹ウイルスなどの感染によって生じる口内炎である(図5-2).全身症状として発熱,倦怠感が図5-1■舌の口内炎左舌側縁のやや下面に直径4mmの潰瘍を認める().左下第一大臼歯の内側に歯のやや尖ったところ()があり,潰瘍と一致している.図5-2■ウイルス性口内炎水痘帯状疱疹ウイルスにより,三叉神経の上顎神経の支配領域に一致して,左硬口蓋から左頬粘膜,上唇にかけて水疱状発疹を認める(○).163

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