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5口腔・歯科・頭頸部の疾患や刺激の少ない歯磨き剤,スポンジブラシを使用するなど,低刺激に口腔環境を整えられるセルフケアを提案する.疼痛の程度によっては適宜鎮痛薬を用いて管理し,適切な口腔ケアを継続できるよう多職種で連携しながら支援する.また,口内炎は口腔清掃状態の不良,う蝕や歯肉炎があると生じやすいため,そのような患者には歯科受診を積極的に勧める. がん治療(放射線療法,がん薬物療法)による口内炎の場合は,口腔内乾燥を伴っていることもあり,口腔内の保湿に留意する.舌へのケアとして舌ブラシの使用などを提案し,口腔粘膜に刺激の少ない食事を工夫する(表5-1).2う歯,う蝕 carious tooth, dental caries1う歯,う蝕とは1歯の各部の名称 歯はエナメル質,象牙質,セメント質,歯髄から形成されており,歯髄には神経や血管などが通っている(図5-5).2病態 口腔の清掃状態が不良になると歯の表面に歯垢*が沈着する.う蝕は,沈着した歯垢内のストレプトコッカス ミュータンスなどの細菌が糖質から酸を産生し,エナメル質や象牙質などの歯質が酸によって脱灰し,歯質の欠損を生じさせる状態である.う蝕が進行し,歯に欠損が生じた部分をう窩と呼ぶ. う蝕は,進行度によって4度に分類される(図5-6).3症状 通常,う蝕は自然治癒することはなく,放置するとう窩が大きくなる.C1う蝕はほとんど症状はなく,C2う蝕は冷水の刺激に対して疼痛が生じることもある.C3う蝕のようにう蝕が歯髄まで達すると,強い疼痛を生じる.4診断・治療診断 う蝕の診断は,う窩が形成されている場合には視診,プローブを用いた触診およびX線検査を行う.根管治療を行う際には,X線検査と歯髄の生死の判定がん治療による重度の口内炎頭頸部癌に対する放射線療法,がん薬物療法による重症の口内炎では歯磨き剤によって疼痛を生じることもあり,歯磨き剤を使わないブラッシングなども提案する.セメント質歯根膜歯頸歯肉象牙質根尖歯根歯冠歯槽突起歯肉上皮歯髄歯髄腔エナメル質図5-5■歯の各部の名称歯垢一般に,歯牙表面に付着した黄白色を帯びた粘着性の物体のことで,多量の細菌が含まれている.デンタルプラークとも言う.*表5-1 ■がん治療による口内炎・乾燥の場合の食事の注意点●禁酒,禁煙とし,刺激の強い食事を避け,薄味を心がける●水分を多く含む,柔らかくて口当たりの良いものを食べる●細かく刻む,とろみで包むなど食べやすく,飲み込みやすい形態にする●柑橘系のジュース,角のある氷を避ける●食事ができない時は,栄養補助食品を利用する165

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