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 ナーシング・グラフィカシリーズは,看護基礎教育の新しいタイプの教科書として2004年に誕生しました.そのコンセプトはGraphic・Global・Grand.看護師国家試験出題基準を網羅するとともに最新の情報や科学的根拠を盛り込み,図表を多用してわかりやすく,効果的に学習でき実習にも役立つ……というものであり,15年を経た現在,全43巻で構成されています. 私は,ナーシング・グラフィカシリーズとして最初に刊行された『人体の構造と機能① 解剖生理学』や『疾病の成り立ち① 病態生理学』,2006年に刊行された『健康の回復と看護② 栄養代謝機能障害』などを執筆させていただきました.特に編者として関わった『栄養代謝機能障害』では,その当時,「機能障害」という視点で構成されている教科書は少なく,目次作りに苦慮したことを鮮明に覚えています.検討の結果,人体が体外から物質を摂取し,それを消化・吸収,合成・分解して必要なエネルギーを産生・蓄積し,排泄するというはたらきを,①摂食・嚥下機能,②消化吸収機能,③排泄機能,④代謝機能に区分し,それぞれの機能障害に焦点を当てて,消化器系の主な疾患の病態と治療,症状や疾患のある患者の看護などを解説しました. このたびの『ナーシング・グラフィカEX 疾患と看護③ 消化器』は,上記の栄養代謝機能障害の考え方を踏まえながらも,学生にとっても,教員にとっても,より使いやすい教科書とするべく,新しい視点を加えて内容を一新しました.第1部は「消化器疾患を学ぶための基礎知識」です.消化器の構造と機能,症候,検査,治療・処置などを解説しています.特に消化器の検査に伴う看護については,他の教科書よりも詳しく記載されています.第2部は「消化器の疾患と看護」です.看護師として知っておくべき疾患を医学と看護学の編者の意見をすりあわせて選定しました.そして各疾患の原因や病態,検査,治療などを踏まえて,その疾患に特徴的な看護や生活支援などを解説しています.第3部は「事例で学ぶ消化器疾患患者の看護」です.臨地実習を想定して,典型的な事例や経過の長い事例を取り上げました. 本書は,医学教育・看護学教育,臨床の第一線で活躍されている方々に執筆をお願いしましたので,看護学生の学習レベルに即した内容になっていると思います.本書が学生の皆様の学習に役立つとともに,教員の皆様が行う授業の一助になれば幸甚です. 最後に,教育・研究や臨床の現場でご多用のなか執筆を快くお引き受けくださった著者の皆様をはじめ,関係各位に心より感謝申し上げます. 編者を代表して 明石惠子はじめに

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