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5脳血管障害脳梗塞1cerebral infarction1脳梗塞とは1発生機序・病型 脳梗塞とは,脳動脈の閉塞により,その血管の支配領域にある脳組織が障害される疾患である.年間約6万人が脳梗塞で死亡しており,脳卒中による死亡数の約6割を占める. 脳梗塞自体は脳の動脈が閉塞することによって発症する単純な病態であるが,閉塞に至る原因にはさまざまな臨床的背景と発生機序が関連しており,その解明は時として非常に困難である.しかし,これを確実に解明して病型を診断しなければ,間違った治療につながることになる.病型診断こそが,脳梗塞治療における最も重要なポイントである. 脳梗塞の発生機序は,血栓性,塞栓性,血行力学性の三つに分類され(図5-1),臨床病型は主にアテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,心原性脳塞栓,その他に分類される(図5-2).発生機序と臨床病型の組み合わせにより,脳梗塞の病型診断を行い,治療法を決定する.発生機序血栓性 動脈硬化性プラーク*による血管の狭窄が原因で血栓が生じ,さらに血管が血栓により閉塞する病態.動脈硬化性プラーク動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪や線維性成分などが蓄積したもの.アテロームとも呼ぶ.*血栓性塞栓性血行力学性動脈硬化性プラークによる動脈の狭窄と,血栓による血管の閉塞が原因で脳梗塞が生じる.頸動脈や心臓で生じた血栓が遊離して,脳内の血管を閉塞することが原因で脳梗塞が生じる.近位血管に閉塞・狭窄があると,急激な血圧低下や脱水などの循環不全の際,遠位血管の血流が低下し,脳梗塞が生じる.動脈硬化脳梗塞図5-1■脳梗塞の発生機序115

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