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5脳血管障害2症候 脳梗塞では,次のような症状がみられる.運動麻痺 初発症状として最も頻度が高く,病側と反対側の顔面,上下肢に麻痺を生じる.上肢ではバレー徴候*,下肢ではミンガッツィーニ徴候*の有無を診察し,軽度の片麻痺を見逃さないようにする.感覚障害 半身の上下肢の感覚低下や感覚過敏,異常知覚を認める.感覚には表在感覚(温度覚,痛覚,触覚)と深部感覚(位置覚,振動覚)があり,これら二つの感覚神経の走行経路は異なる.そのため,一方の走行経路が障害されることにより,どちらかの感覚のみが障害される解離性感覚障害を認めることがある.延髄外側症候群(ワレンベルグ症候群) 深部感覚は正常で,対側の表在感覚障害を認める.そのほか,病側の咽頭や喉頭の麻痺,病側顔面の表在感覚障害,小脳失調などの症状がみられる.延髄内側症候群 表在感覚は正常で,対側の深部感覚障害を認める.そのほか,対側の片麻痺と病側の舌の麻痺を認める.構音障害 ろれつが回りにくい症状をいう.共同偏視 眼球運動を支配する経路は大脳皮質*から脳幹の間を走行しており,この経路が障害されると,左右の眼球が一方向を向いたままとなる.大脳に病変が生じると病側を,脳幹に病変が生じると健側を向く.皮質症状 大脳皮質障害により起こる.脳の主幹動脈が閉塞する心原性脳塞栓とアテローム血栓性脳梗塞が原因となり,穿通枝閉塞によるラクナ梗塞は原因とはならない.失語や失行,失認などの症状がみられる.失語 主に優位半球(言語野のある側の大脳半球.大体は左大脳半球)の病変で生じ,病巣によって自発語や言語理解,復唱,呼称,書字,読字などが障害される.失行 運動障害がないにもかかわらず,指示に応じた行為ができない状態.失認 半側の空間や自分の病態を認識していない状態. 皮質症状は脳の主幹動脈の閉塞を意味しており,超急性期治療である血栓回収療法の適応となる.共同偏視や皮質症状があれば治療を急ぐ必要があり,見逃してはならない.超急性期脳梗塞の病態 動脈が閉塞し脳血流が低下すると,脳への酸素供給が低下して脳組織が壊死し,脳梗塞に陥る.しかし,脳血流が低下しても,一定の血流量を維持するために,脳の血管には血管径を拡張して脳血流量を増やしたり,脳組織への酸素の取り込みを増やしたりする,いわゆる自動調節能が働き,脳組織がすぐには梗塞に陥らない仕組みになっている.脳血管の自動調節能によってまだ壊死に陥っていない脳組織領域をペナンブラ領域といい,壊死に陥る前に血流を再開すると,ペナンブラ領域は完全に回復する可能性がある(図5-3).しかし,壊バレー徴候・ミンガッツィーニ徴候上下肢の運動麻痺がある場合に現れる徴候.バレー徴候では,両腕を手掌を上にして肘を伸ばしたまま前方に挙上し閉眼した際に,麻痺側上肢が回内し,次第に下りてくる.ミンガッツィーニ徴候では,仰臥位になった状態で股関節と膝関節を90°屈曲させて,検者が両側の下肢を両手で持って挙上させ,検者が手を離した際に麻痺側の足が下降,もしくは動揺する.大脳皮質脳の表面を縁取る,神経細胞が配列する薄い層のこと.また,大脳白質は,大脳皮質の内側の神経線維が走行している部分をいう.*117

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