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し,80代では約65%まで増加する. 人間の眼は完全な球体ではなく,わずかな楕円体であるため,外界から入ってきた光は強く曲がる方向と弱く曲がる方向が生じる.そのため,光が一点に結像せず焦線となる.強く曲がる方向(強主経線)で結ばれる線を前焦線,弱く曲がる方向(弱主経線)で結ばれる線を後焦線といい,その中間に焦点,あるいは焦線とはならず,均一にぼやける最小錯乱円がある.それぞれの焦線での見え方を図5-3に示す. 乱視には正乱視と不正乱視がある.正乱視は主経線の軸方向によって直乱視,倒乱視,斜乱視に分類される.不正乱視は,角膜や水晶体の屈折面が不規則な状態にあるため,外界からの光を集光できない.2原因・症候 乱視は眼の屈折力が不均一なために生じるが,正乱視の原因は角膜や水晶体の各経線での屈折値が異なることである.一方,不正乱視は,円えん錐すい角膜など角膜形状異常などの疾患によって生じるもので,円錐水晶体や水晶体亜脱臼などによる水晶体不正乱視,あるいは水晶体や眼内レンズの位置異常による不正乱視もある(図5-4).網膜180°の直乱視の焦線での視標の見え方視 標前焦線の位置最小錯乱円の位置後焦線の位置弱主経線強主経線最小錯乱円前焦線後焦線図5-3■正乱視による前焦線,最小錯乱円,後焦線での視標の見え方a.乱視なしケラトリング*がほぼ正円図5-4■角膜の状態と正乱視,不正乱視b.混合乱視・直乱視ケラトリングが横長c.軽度不正乱視d.円錐角膜による不正乱視乱視による見え方直乱視:対象物が上下にぼやけたり二重に見えたりする.倒乱視:対象物が左右にぼやけたり二重に見えたりする.斜乱視:対象物が斜めにぼやけたり二重に見えたりする.ケラトリング角膜に投影されたリング.*70

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