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5屈折異常・調節異常,眼位・眼球運動異常 正乱視も不正乱視も像がぼやけて対象物が二重三重に見えるため,視力不良となる.見え方は,乱視軸方向によって異なる.3診断・検査・治療・予後 他覚的屈折検査(オートレフ・検影法)や,自覚的屈折検査法によるクロスシリンダー法,または乱視表による乱視矯正を行う. 正乱視の場合は円柱レンズによる矯正が可能で,眼鏡やハードコンタクトレンズ,トーリックソフトコンタクトレンズ(乱視用コンタクトレンズ)で矯正する.円柱レンズで矯正すると,レンズの乱視軸方向に伸びて見える. 不正乱視は円柱レンズでの矯正が不可能なため,ハードコンタクトレンズによる屈折矯正を行うか,屈折矯正手術を行う.円錐角膜による不正乱視の場合は,コンタクトレンズの装用により,進行を抑制できることが多い. 一般的に,乱視は急に増悪することはないが,白内障などが生じると,水晶体による乱視が変化することがある.4老視 presbyopia1病態・原因・症候 老視とは加齢により調節力が衰え,瞬時に焦点を合わせることが困難になった状態である(図5-5).水晶体の弾性が低下することにより,毛様体筋が収縮しても水晶体の屈折が増加せず,焦点を合わせることができないために起こる.主に残余調節力が3D(ジオプター)を下回るころに老視を自覚することが多く,一般的には40代で老視の自覚症状が始まり,残余調節力がほぼなくなる60歳ごろで進行が止まる. 加齢とともに調節力が低下し,近見時の眼精疲労や近見障害が生じる.老視の主な自覚症状には,薄暗いと文字が読みづらい,本などを読むとき遠ざける,集中力がなくなる,近くを見ていて遠くを見ると焦点を合わせるのに時間がかかる,などがある.2診断・検査・治療 自覚的または他覚的に調節力検査にて調節力を測定する. 治療では,老眼鏡の選定を行い処方する.遠近両用眼鏡,遠近両用コンタクトレンズ装用などがある.5調節麻痺 accommodative palsy1病態・原因・症候 調節は,近見反射(輻ふく輳そう・調節・縮瞳)の一つで,調節力は生後4カ月で発達する.調節障害には調節不全,調節衰弱,調節遅ち鈍どん,調節麻痺,調節痙攣,10051015(D)203040年齢506070(歳)調節力図5-5■年齢と調整力の関係曲線71

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