鎖骨骨折1clavicle fracture1鎖骨骨折とは1原因 鎖骨骨折は全骨折の約2.6%を占める頻度の高い骨折であり,小児を含め幅広い年齢層に発生する.その多くは手をつく,肩を打つなどの介達外力*で発生する. 鎖骨は内側が胸骨と胸きょう鎖さ関節を,外側が肩甲骨と肩けん鎖さ関節を形成しており,上肢と体幹を連結する役割を担っている.これによって上肢に力と安定性を与えることができる.そのほかにも,神経血管束の保護や前胸郭の一部を形成するなどの機能を有している.2病態 鎖骨骨折は部位によって近位端骨折,中央1/3の骨幹部骨折,遠位端骨折に分けられる(図5-1).骨幹部骨折が約80%と大部分を占め,遠位端骨折は約15%,近位端骨折は約5%となる.鎖骨の骨幹部近位は上前方凸に弯曲しており,遠位からの外力が弯曲部に集中するため,骨幹部骨折が多くなると推測される.また,上肢の重量があることや,三角筋や大胸筋に牽引されることなどから,遠位骨片は下方に転位しやすい(図5-2).3症候 骨折部の疼痛や変形,腫脹や皮下出血を伴う.転位が大きい場合は,変形の触知や視診が容易に可能となる.疼痛のため患肢側の上肢挙上が困難となることが多いが,骨折部が安定している場合は痛みが少ないこともある.介達外力受傷時,受傷部位から離れた部位に外力が働くこと.介達外力による骨折を介達骨折という.対して,直達外力では外力が局所に働き,その場合の骨折を直達骨折という.*図5-1■鎖骨の部位体幹に近い部位から近位端,骨幹部,遠位端に分けられる.遠位端骨幹部近位端鎖骨遠位端骨折鎖骨骨幹部骨折図5-2■近位骨片の上方への転位108
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