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5腎不全糸球体障害型 糸球体障害型には,原発性あるいは続発性の糸球体腎炎があり,急性糸球体腎炎,急速進行性糸球体腎炎,ループス腎炎などが代表的な原因疾患となる.血管障害型 血管障害型は,溶血性尿毒症症候群(HUS),血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),播種性血管内凝固症候群(DIC)などが誘因となる.腎後性急性腎不全 下部尿路の通過障害により生じる.前立腺肥大症,前立腺癌,神経因性膀胱,子宮癌などによる下部尿路閉塞のほか,後腹膜線維症や悪性腫瘍の後腹膜・骨盤内浸潤などによる両側性の上部尿路閉塞が原因となる.片側性の上部尿路閉塞(尿管結石など)では腎不全には至らない. 2 症状 原疾患による症状に加えて,尿量の変化が重要となる.腎前性急性腎不全,腎後性急性腎不全では,乏尿(400mL/日以下)または無尿(100mL/日以下)を来すことが多い.特に無尿であれば腎後性急性腎不全を疑う.一方,腎性急性腎不全の場合,薬剤性の尿細管間質障害型は非乏尿性急性腎不全を生じることもあり,尿量だけの判断には注意が必要である.急性腎不全の程度,進行にもよるが,浮腫,高血圧などの体液貯留を呈し,場合によっては尿毒症症状(p.70参照)を認める.また,腎後性急性腎不全では腎内圧上昇による側腹部痛などを認める場合もある. 3 検査・診断 血液検査,尿検査,超音波検査が有効である.血液検査 血液検査では血清クレアチニン(Cr)の上昇,推算糸球体濾過量(estimated glomerular ltration rate:eGFR)の低下,血中尿素窒素(BUN)の上昇などを認める.腎性急性腎不全,腎後性急性腎不全に比較し,腎前性急性腎不全ではBUN/Cr比が上昇しやすい.高カリウム血症,代謝性アシドーシス,低ナトリウム血症,高リン血症,低カルシウム血症などさまざまな酸塩基・電解質異常を示す.尿検査 尿検査では,まず試験紙法で尿潜血,尿タンパクをチェックする.これらが陽性であり,尿沈渣で明らかな血尿を認め,尿タンパク定量(0.5g/日)か尿タンパク/Cr比(0.5g/gCr)でタンパク尿が明らかであれば,糸球体腎炎による腎性急性腎不全を疑う.尿潜血反応は陽性であるが,尿沈渣で血尿が認められなければ,ミオグロビン尿やヘモグロビン尿を考える.また,尿中ベンス・ジョーンズタンパクの同定は骨髄腫の鑑別に有効である.ATNであれば,尿沈渣で上皮円柱,顆粒円柱を認める. 一方,腎前性急性腎不全は尿所見に乏しいが,尿比重,尿浸透圧,ナトリウ急性糸球体腎炎については,6章1節p.80参照.急速進行性糸球体腎炎については,6章2節p.82参照.ループス腎炎については,9章1節p.107参照.65

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