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5月経に関連する疾患遅発思春期 遅発思春期に明確な定義はないが,乳房発育が11歳まで,陰毛発生が13歳まで,初経が14歳までに認められないものを遅発思春期としている2).日本産科婦人科学会では,15歳以上18歳未満で初経発来がないものを初経遅延,18歳になっても初経発来がないものを原発性無月経と定義している2).早発思春期で留意すべきこととして,①骨端線が早期に閉鎖し低身長となる,②本人の心理的問題,周囲が戸惑う社会的問題が起きうる,③まれではあるが,エストロゲン分泌を促進する腫瘍などが原因疾患として潜んでいる場合がある,の3点が挙げられる.2検査・診断早発思春期 思春期徴候(乳房発育,陰毛発生,初経発来)を評価する.また身長の伸びや骨成熟の評価,ホルモン検査を行う.ホルモン検査ではゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH),卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体形成ホルモン(LH),エストロゲンなどを測定する. 早発思春期は真性(中枢性)と仮性(末梢性)に大別できる.真性早発思春期では視床下部からのGnRH放出が亢進した結果,エストロゲン産生が促進されており,仮性早発思春期ではGnRHとは無関係に末梢性にエストロゲン産生が亢進している.早発思春期の70%は真性かつ特発性(原因不明)である2).しかし,真性早発思春期では脳腫瘍や脳の外傷・炎症が,仮性早発思春期では卵巣腫瘍や副腎腫瘍などのホルモン産生腫瘍が原因となっている場合もあり,画像診断による器質的疾患の除外が必要である.遅発思春期 原因検索を原発性無月経の場合と同様に行い(p.130 参照),器質的疾患が除外されれば体質性の遅発思春期と診断する.3治療早発思春期 原因疾患が明らかな場合はその治療を行う.最も頻度の高い真性かつ特発性の場合は,GnRHアゴニストを使い,下垂体からの卵巣を刺激するFSH,LHの分泌を抑える.また,心理・社会的サポートが必要である.遅発思春期 原因疾患が明らかな場合はその治療を行う.体質性の遅発思春期では,多くの場合は治療の必要がない.ただし,16歳になっても初経を認めない場合は,原発性無月経に移行しないか注意深い観察が必要であり,治療介入も考慮する.127

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