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 女性生殖器の疾患や病態を理解するためには,まず,女性特有の臓器の解剖と生理機能を正しく理解することに始まります.女性生殖器は妊娠分娩という生殖を担う臓器であるため,内分泌系を中心に免疫系や神経系にまたがる多様で精密な機能ネットワークをもつ一方,疾患としては良性腫瘍,悪性腫瘍,感染症,形態異常など多様な疾患が存在します.さらに,妊娠関連疾患や不妊症などの女性特有の病気があるので,必要な知識量は非常に多く,効率的な学習が重要となります. 女性のライフステージは女性ホルモンの影響を受けて進んでいきます.また,ライフイベントにも女性ホルモンが大きく関与しています.ホルモンの過剰・過少分泌は女性生殖器の乳房,子宮,卵巣ばかりでなく,全身,特にメンタルヘルスにも支障を来します.対象は,月経開始以降の思春期から閉経前後の更年期,老年期と幅広く,対象の年代によっては成長,学業,就業,妊娠にも影響を及ぼします.また,妻,母親,会社員など家庭や社会で担う役割が増えるほど,疾病がもたらす影響は大きくなります.WHO(世界保健機関)では,リプロダクティブヘルスを「生殖に関するあらゆる過程において,ただ単に疾病や障害が存在しないだけではなく,身体的,精神的,社会的に健全な状態」と定義し,性と生殖に関する健康と権利を確保し,女性が心身ともに健康で暮らすことを唱えています. 本書では,3部構成で支援のありかたについて記載しています.第1部では,症候,検査・治療と診断を受ける女性への看護について,看護者が支援すべきことについてまとめました. 第2部では,まず頻度の高い症状に関連する疾患を概説し,次に各臓器別の疾患や健康課題を詳説した上で,臨床で注目されている不妊症や更年期疾患,性に関連する課題などを取り上げ,実地医療に即した項目立てにしました.女性のライフステージと社会の中での立場を理解し,生殖器の疾患を抱えた女性が心身ともに充実した生活を送るための支援を,検査・治療に対する援助の視点,心理的支援,退院後の生活支援などを中心にまとめています.また,女性自身が自分に合った対処方法を見いだし,自身の健康を管理できるよう支援する,健康教育の視点も含めた看護のありかたを記載しています. 第3部では,各ライフステージ別に罹患率の高い疾患を事例に挙げ,アセスメンはじめに

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