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 そのため患者の排尿の援助においては,排尿を促すために精神的に緊張せずに,安定した腹圧がかけられる体位を工夫する必要が生じる. 蓄尿と排尿の生理(機能)を学ぶと,①膀胱平滑筋・外尿道括約筋・骨盤底筋群などの筋②体性運動神経(陰部神経→外尿道括約筋を収縮させる),副交感神経(骨盤神経→膀胱平滑筋を収縮させ,内尿道口周辺を弛緩させる),交感神経(下腹神経→膀胱平滑筋を弛緩させ,内尿道口周辺を収縮させる)などの神経の名称と,それらが位置する部位などの解剖学的知識も必要となるのがよくわかる. 交通事故で脊髄を損傷した場合,どの神経が機能しなくなるのか.その結果,どのような排尿障害が起こるのか.疾患によって生じる機能障害の理解に,解剖生理学の知識は欠かせない. 排尿という,極めてありふれた日常生活行動には,少なくとも①筋系,②神経系,③泌尿器系が関与している.このように,ほとんどの日常生活行動は,複数の器官系が関与して行われる複雑な機能といえる. 系統解剖学では器官系ごとに学習するが,この例からもわかるとおり,実際の看護行為では,複数の器官系にまたがる解剖学と生理学の知識を統合する必要があるのを忘れてはならない.●特別映像:医療従事者をめざす,あしたの君へ〈動画〉コンテンツが見られます(p.2参照)16

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