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◦口内炎の種類と特徴を理解する.◦歯科疾患の病態と治療を理解する.◦舌癌,咽頭癌・喉頭癌,上顎癌・下顎癌の病態と治療を理解する.◦食道アカラシア,胃食道逆流症,食道癌の病態と治療を理解する.◦食道癌に対する食道全摘出術と食道再建術を理解する.(1)口内炎(stomatitis)●病態● 口内炎は舌,口唇,歯肉などの口腔粘膜に発生する炎症性の病変の総称である.その原因は歯や義歯が絶えず当たっている等の機械的な刺激,咬こう傷しょう,細菌感染,粘膜に潰瘍を形成するような全身疾患によるものがある.そのほか,薬剤の有害作用としても口内炎がみられることがあり,特に抗悪性腫瘍薬(抗がん薬)や抗生物質による治療を受けている場合は,投与早期からその徴候が認められる.口内炎の種類にはアフタ,潰瘍性疾患,ウイルス性感染症,カンジダ症,結核性潰瘍等がある.●症状● 患部に小水疱ができ,その後破れて潰瘍となる.周囲は発赤し,痛みを伴う.その原因によっては全身症状として発熱,全身倦怠感を伴うこともある.●診断●アフタ 直径5mm程度の小さな円形の浅い潰瘍で,境界は明瞭で周囲は赤く接触痛が強い.通常10日程度で自然治癒するが,再発を繰り返すこともある.潰瘍性疾患 義歯の不適合や自己の歯での圧迫により褥じょく瘡そうをきたすもの,口腔内清掃による摩擦等の刺激によるものがある.ウイルス性感染症 ヘルペスウイルスによる感染として歯肉口内炎や口唇ヘルペス,水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹,コクサッキーA群の感染によるヘルパンギーナや手足口病などである.ウイルス性疾患の場合,潜伏期を経て発症することとなり,発症後は1~2週間で治癒する.痛みを伴うため摂食困難となる.カンジダ症 真菌であるカンジダ・アルビカンスの感染によるもので,発症後1週間程度で軽快し,痛みを伴うことは少ないとされている.●治療● アフタの場合には,患部に副腎皮質ステロイド軟膏や貼付剤を付けることで,痛みを和らげることができる.ウイルス性の場合には,抗ウイルス薬の投与が必要であり, 1 摂食・嚥下機能障害と疾患 学習ポイント 1 口腔疾患 リンク疾病と治療 4章1,2節20
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