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 初版から8年を迎えたナーシング・グラフィカシリーズの健康の回復と看護②「栄養代謝機能障害」は,初版からの「機能障害」というコンセプトを維持しつつ,構成と内容を一新させました.また,随所に効果的に学習できるような工夫を加えました. 栄養代謝機能とは,人体が体外から物質を摂取し,それを消化・吸収,合成・分解して生活力の維持や成長に必要なエネルギーの産生,蓄積,身体の構成成分の合成,そして排泄のための変換などを行うはたらきをいいます.これは,人が生まれてから死に至るまで,発達段階や健康状態,環境などの影響を受けながら絶え間なく繰り返されます. 本書では,このような栄養代謝機能を①摂食・嚥下機能,②消化吸収機能,③排泄機能,④代謝機能に区分し,それぞれの機能障害に焦点を当てました.そして,1章と2章で主な疾患の病態と治療,3章と4章で症状や疾患のある患者の看護,最後の5章で看護の実際を学習するという構成となっています. 栄養代謝機能障害によって通院や入院を必要とする人は多く,その症状や疾患は多種多様です.本書では,臨床でよく経験するもの,あるいは,障害に至る病態や治療,看護において特徴的なものを取り上げ,最新の治療指針とともに,栄養代謝機能障害のある患者に対する看護の考え方を示しました. 効果的な学習の工夫として,巻頭に消化管のカラー図版,「学習マップ」を掲載しました.これらによって,これまでに学習した解剖生理の知識を一瞬で想起したり,本書で学ぶ内容とその関係を概観したりすることができ,栄養代謝機能障害の学習の動機づけと理解の促進につながると思います. また,改訂版での新しい試みとして,随所に「臨床場面ケーススタディ」を挿入し,最終章を事例集としました.臨地実習で受け持つことの多い患者を取り上げていますので,学習したことが臨床場面につながり,例示した看護過程は,看護問題の抽出や看護計画の立案,看護の評価の際に役立つと思います. 最後に,教育や臨床の現場でご多用のなか快く執筆をお引き受けくださった皆様,臨床医学的な立場からのご助言をいただきました医学監修の野口孝先生をはじめ,関係各位に心より感謝申し上げます.名古屋市立大学看護学部教授明石 惠子はじめに

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