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化学反応というと,多くの人は高校の実験室で見た試験管やガスバーナーを思い浮かべるかもしれない.溶液の色が変わったり,沈殿が出たり,気体が発生したり,目を楽しませてくれるものも少なくない.一方,生体内でも化学反応が常時起こっていると聞いたら,どのように感じるだろうか? 実験室で観察する化学反応とは違い,生体内の化学反応はpHも温度も温和な条件で進む.また,実に多様な種類の反応が同じ場所で同時に起こる.それでも混乱することなく,これらの化学反応により私たちの体は栄養分からエネルギーを取り出し,いろいろな生体構成分子を合成し,生命活動を行っている. この巧みに調節された反応装置も,時には調子が悪くなる.これが病的な状態である.息苦しくなってはじめて呼吸していることを意識するように,病気になったときに,生体内での反応に思いをいたらせる人もいることであろう.生化学では,私たちの体がどのような物質から成り立っているか,それらの物質がどのように作られ,分解され,調節されて生命を維持しているのかを学ぶ.このような知識が病気を理解する上で重要であることは言うまでもない. 本書は,看護学およびその関連領域の教育に実際に携わっている先生方に執筆をお願いした.医学的知識が日々,増え続けている中で,内容の選択にあたっては,日常生活や臨床の場で役立つ知識を取り入れるように心がけた.読者の理解を助けるよう,図表も多めに取り入れた.また,このたびの改訂にあたり,読者からいただいた貴重なご意見を参考にして,全体の記述の見直しと図表の修正を行った. 最後に,本書の執筆・編集にあたってご助言をいただいた方々に深く感謝いたします.山梨大学医学部生化学講座第2教室教授宮澤恵二はじめに
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