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(1)たんぱく質(protein) たんぱく質は,筋肉,臓器,血管など身体を構成するほかに,ホルモン,酵素,免疫抗体など主に身体の機能に関わる成分としても重要である. 炭水化物および脂質は,炭素(C)・水素(H)・酸素(O)から構成されているが,たんぱく質はこのほかに,16%の窒素(N)を含んでいることが大きな特徴である.さらに,硫い黄おう(S)・リン(P)・鉄(Fe)・ヨウ素(I)なども含んでおり,たんぱく質分解酵素により加水分解されるとアミノ酸になる.●たんぱく質の種類● たんぱく質は,アミノ酸という低分子化合物が,チェーン状に多数結合(ペプチド結合)した高分子化合物で,結合するアミノ酸の種類と組み合わせにより,単純たんぱく質,複合たんぱく質,誘導たんぱく質の3種類に分けられる(表1.2-1).アミノ酸のみで構成されているものを単純たんぱく質,分子中にたんぱく質以外の成分を含み重要な生理機能を果たしているものを複合たんぱく質という.さらに,天然たんぱく質が熱・酸・アルカリ・酵素などの作用により構造に変化が生じたものを誘導たんぱく質という. また,動物性たんぱく質・植物性たんぱく質といった自然界の起源による分類や,乳たんぱく質・大豆たんぱく質など,食品の起源を表した名称も使用されている.アミノ酸 アミノ酸はたんぱく質を構成している最小単位であり,身体を構成しているアミノ酸は20種類といわれている(表1.2-2).このうち9種類のアミノ酸は,人体で作ることができないか,作られる量が少ないため,食物として摂取しなければ欠乏症を生じるため,これらのアミノ酸を必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)という.またそれ以外の体内合成できるアミノ酸を非必須アミノ酸(可欠アミノ酸)という. 成人・乳幼児とも必須アミノ酸は9種類だが,乳幼児ではアルギニンの欠乏にも注意が必要である(1985年FAO/WHO/UNU報告).図1.2-2●人体の構成成分の目安(体重60kg成人男性の例)糖質 0.5%ミネラル 4.5%水分 60%たんぱく質 18%脂質 17%生命活動のエネルギーとなる身体の構成成分となる代謝を円滑にすすめる栄養素働 き矢印の太さは,各栄養素の作用の強さを表す.糖 質脂質たんぱく質ミネラルビタミン図1.2-1●五大栄養素の働き窒素-たんぱく質換算係数食品中のたんぱく質量は,たんぱく質中の窒素(N)量に窒素-たんぱく質換算係数(100/16=6.25)を乗じた値である.各食品に含まれる窒素の割合は,ほぼ16%であるから,多くの食品ではこの係数を使うが,主要な食品に関しては個別に係数が求められ,日本食品標準成分表(➡p.62参照)に記載されている.➡FAO(p.53 plusα参照)➡WHO(p.52 plusα参照)➡UNU(p.16 plusα参照)必須アミノ酸の覚え方アルギニン(準必須)メチオニンフェニルアラニンリシンヒスチジントリプトファンイソロイシンロイシンバリントレオニン雨アメ降フり一ヒト色イロ鳩バト131臨床栄養学の基礎知識

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