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態を呈する(1章5節「感 染」参照).(6)変性・壊死・萎縮・老化 細胞や身体は生きている.そのため,生きていく過程で細胞や身体自身になんらかの変化を起こす変性がある.生きていくのに有利でない変化は,いずれ生命維持にとってマイナスの影響を引き起こす.そのような変化にはさまざまな原因や過程がある.細胞が不可逆的な変化をきたし,死んでしまうこと(壊え死し)もあれば,死なないまでも,その大きさが縮小する場合(萎い縮しゅく)もある.また,加齢により細胞が疲ひ弊へいする変化をきたすことを老化と呼ぶ(1章6節「変性・壊死・萎縮・老化」参照).(7)腫瘍と過形成 細胞や身体は無限に同じ構造や機能を保ち続けるわけではなく,古い細胞は壊死し,新しい細胞が再生されている.このように,細胞はそもそも,自己を再生する増殖能を持ち合わせている.細胞が増殖するときに誤りが起こり,もともとの性質が変化し,必要以上に増殖していくことを過形成という.このようにして,細胞が本来あるべき姿から大きく逸いつ脱だつして増殖した構造物を腫しゅ瘍ようと呼ぶ.その中でも,コントロールが全く利かず,細胞が無秩序に増殖し続けていくことを腫瘍の悪性化,すなわち,がん化という.増殖が進むと,腫瘍は本来そこにある構造物を圧迫したり,正常に生きていこうとする細胞や器官への栄養供給や血行を妨げたり,周囲へ悪影響を及ぼす物質を産生したりする(1章7節「腫瘍と過形成」参照).(8)先天異常 たった一つの受精卵から卵の分割が繰り返され,その過程でおのおのの形や機能を帯びてくることを分化という.細胞分化,それはとてつもなく壮大な細胞の成長・変化である.先天異常とは,なんらかの原因で分化が正常に果たせず,身体の機能や形態の異常が出生時に認められることである.先天異常のうち形態異常を奇形と呼ぶ.これには外見からわかる異常や,内臓あるいは組織レベルの異常がある.先天異常はその原因から遺伝要因,環境要因,あるいはその両者の相互作用によるものに大別できる(1章8節「先天異常」参照).(9)代謝異常 生命を維持していくためにはエネルギーの利用が必須であり,そのためには,エネルギーの原材料の取り込み,生体内部における輸送,不用物質の排泄が行われる必要がある.身体の細胞が活動するためには,身体自体を形作る物質と身体活動に必要なエネルギーが不可欠で,これらを外界から取り入れなければならない.そのままの形態で利用できる食物はほとんどなく,小さな分子にまで食物を分解することで体内に吸収できる.分子レベルでエネルギー物質が変化することを代謝といい,この機能が正しく働かない(代謝異常)と生命維持が困難になる(1章9節「代謝異常」参照). 人間は,多少の外的あるいは内的な変動因子に対しては元に戻ろうとするしくみをもっている.しかし,本来人間がもっている回復力を超えて細胞や身体が侵襲を受けた場合には,不可逆的な進展に向かうことになる.その終末像が死である.この時点 3人間の死不可逆的絶対に逆戻りしない反応や変化のことをいう.反対に,反応や変化が逆戻りしうることを可逆的という.14

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