②薬効による分類(日本商品分類番号)③治療目的による分類(高血圧治療薬,糖尿病治療薬など)④化学構造による分類(ベンゾジアゼピン,フェノチアジン,ステロイドなど)⑤剤形による分類(錠剤,カプセル剤,注射剤,軟なん膏こう剤,点眼剤など)⑥使用目的による分類(治療薬,診断薬,予防薬など)⑦適用方法による分類(内服薬,外用薬,注射薬など)(1)毒薬と劇薬 毒薬と劇薬は,作用もしくは毒性が強いものとして厚生労働大臣が指定している医薬品である.毒薬と劇薬の違いは,動物実験での毒性(致死量)で決められている(図1-2).ともに普通薬と区別して貯蔵する必要があり,毒薬は施錠保管する.(2)麻 薬 麻薬とは,微量で著しい薬理作用を示し,習慣性,耽たん溺でき性(心理的,肉体的に強い依存性)がある医薬品である.麻薬は,麻薬施用者(医師が各都道府県に届け出ることが必要)のみが処方できる.また,麻薬及び向精神薬取締法で定められる特別な厳しい管理が求められており,残量を勝手に廃棄してはならない.他の医薬品と区別して貯蔵し,堅固な設備内で施錠保管する.(3)向精神薬 一般的には,中枢神経系に作用して精神機能に影響を与える医薬品を指すが,睡眠薬,抗不安薬などの不正流通や乱用を防止するために,麻薬及び向精神薬取締法において第一種から第三種まで分類して定められている.(4)覚せい剤・覚せい剤原料 中脳網様体賦ふ活かつ系に作用して覚せい反応の閾いき値ちを下げ,疲労感の減少と気分の高揚をもたらす医薬品で,覚せい剤取締法の規制を受ける.覚せい剤を臨床で用いることはほとんどないが,パーキンソン病治療薬のセレギリンと,気管支拡張薬のエフェドリンは覚せい剤原料である.(5)安全管理の面からの分類 誤って投与された場合の健康被害の大きさは,医薬品の作用によって大きく異なる.循環器系,糖代謝,血液凝固に影響を与える医薬品や骨髄への重じゅう篤とくな有害作用を示す医薬品については,それ以外の医薬品に比べて投与時に特別の注意が必要である.これらの中には,高濃度カリウム塩化物注射薬のように,劇薬でも毒薬でもないもの(普通薬)も含まれる. 投与時に特別な注意が必要な医薬品(ハイリスク薬)の代表として,カリウム塩化使用上の注意を促すため,毒薬および劇薬は法により,それぞれ上記のように表記方法が定められている.「毒」と商品名は白字で記載「劇」と商品名は赤字で記載毒薬劇薬白地赤枠黒地白枠図1-2●毒薬と劇薬の表示オーファンドラッグ (希少疾病用医薬品)orphan drug.治療法の確立されていない難病のための薬のこと.患者数が少ないため利益追求が難しく開発が進みにくかったが,日本では1993年以降,開発支援がスタートした.患者数が5万人未満の難病など治療が難しい病気である,他に代替する適切な医薬品や治療方法がないなどの基準を満たしオーファンドラッグに指定されると,研究開発のための助成金交付や,優先して承認審査が行われるなどの優遇措置が受けられる.危険ドラッグ覚せい剤や大麻などの違法薬物とよく似た成分を含む「ドラッグ」を指す.催眠・興奮・幻覚作用などを引き起こす成分を含んでおり,危険性が高い.2020年2月28日時点で2,385物質が指定薬物に指定されており,医薬品医療機器等法において指定薬物の輸入および販売は禁止されている.151医薬品総論
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