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学習ポイント●呼吸器の構造と機能について理解する.●呼吸機能障害の分類について理解する. 呼吸とは酸素を外界から取り入れ,体内で産生された二酸化炭素を排出する営みである.肺で行われる外呼吸と組織で行われる内呼吸からなり,この営みが行われることで,人体を構成する約60兆個の細胞が円滑に代謝を行うことができる.ここでは,呼吸器の解剖生理と呼吸器が障害された際の分類について述べる.(1)呼吸器の構造 呼吸器の全体像はp.12,図1を参照.呼吸器は,空気が通る導管部とガス交換部に分けられる(図1.1-1).また,鼻腔から咽頭までは,発生学的には外胚葉から成り上部気道とされ,喉頭以下は内胚葉から成り下部気道とされているが,鼻腔から喉頭までを上気道,それより下の部分を下気道とする分類が一般的である. 導管部(導性呼吸気道)は,鼻腔から始まり,咽頭,喉頭,気管,左右の主気管支,葉気管支,区域気管支,小気管支,細気管支,終末細気管支までである.導管部はガス交換をしないため,死し腔くう(特に解剖学的死腔,p.46参照)と呼ばれ,その容積は約150mLを占める.ガス交換部は,その先の呼吸細気管支,肺胞管,肺胞までの部分である. 導管部を構成する気管や気管支の上皮細胞は,線毛上皮細胞で構成されており,上皮細胞の近くは漿しょう液えき性のゾル層で,より遠くは粘ねん稠ちょうなゲル層の2層になっている. 1酸素を取り込む機能とその障害 1呼吸器と呼吸機能リンク解剖生理学 6章図1.1-1●呼吸器における導管部とガス交換部気管右左主気管支導管部(導性呼吸気道)ガス交換部葉気管支約25°約45°区域気管支小気管支細気管支終末細気管支呼吸細気管支右主気管支は左主気管支よりも太く角度も小さいため,異物が入りやすい.肺胞管肺胞空気の流れ気道の内腔付着したゴミゲル層ゾル層線毛上皮細胞分泌顆粒粘液線毛杯細胞基底細胞粘膜下腺(気管支下腺)粘液の流れ移行部呼吸部22

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