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そのため,吸い込んだ空気の中に含まれる塵じん埃あいなどの異物がゲル層に付着し,ゾル層にある線毛が動くことで塵埃が外部へ排出されるしくみがある.気管が左右に分岐した主気管支は,左主気管支に比べると,右主気管支がまっすぐ下降し,直径も広くなっているため,異物が入った場合や気管カニューレを入れる場合は右側に入りやすい.気管支の中では,区域気管支で軟骨がなくなり,細気管支では平滑筋や弾性線維が発達している(表1.1-1).ガス交換部に移行する呼吸細気管支では,肺胞と同様な働きをもっている.肺胞は約3億個あり,表面積は約60~100m2にも及ぶ.肺自体は左右にあるが,左肺は2葉,右肺は3葉に分かれている. 肺胞の細胞は二つあり,Ⅰ型肺胞上皮細胞が約95%,Ⅱ型肺胞上皮細胞が約5%を占める.Ⅱ型肺胞上皮細胞はサーファクタントという物質を分泌し,肺が拡張するのを助ける働きをもっている.サーファクタントは肺が成熟した際にⅡ型肺胞上皮細胞から分泌されるので,早産児などでは分泌が減少しており,肺胞の拡張ができない場合がある.(2)呼吸運動と換気 換気をするための呼吸運動では,吸気時に横隔膜や外肋間筋が収縮することで胸きょう郭かくが拡張し,胸郭に付着している壁側胸膜も一緒に広がる.陰圧である胸膜腔内圧(胸腔内圧)がさらに陰圧となることで,臓側胸膜が引っ張られ,それに伴って肺胞が広がり,空気が流入してくる.呼気時は,収縮した横隔膜や外肋間筋が弛緩して胸膜腔内圧が元に戻り,この部分の陰圧よりも肺の弾性のほうが強くなるため,空気が押し出される.努力性の吸気では,斜しゃ角かく筋きんや胸きょう鎖さ乳にゅう突とつ筋きんなども使用され,努力性の呼気では,内肋間筋や腹部の筋肉も作用する. 吸気により肺胞へ入ってくる空気は1回で約500mLであり,これを1回換気量(tidal volume:TV)という.成人では,呼吸数が1分間あたり約12~18回であるので,1分間の換気量(分時換気量V● E)は約6~9L/分となる.しかし,これは鼻腔から気道へ入ってくる空気の量も含んでいる.実際に肺胞へ到達する換気量は分時肺胞換気量区 分線毛細胞粘膜下分泌腺軟 骨平滑筋弾性線維杯細胞肺胞上皮細胞導管部気 管++++++++++++++-主気管支++++++++++++++-葉気管支~小気管支++++++++++++++-細気管支++-++++++±-終末細気管支---++++++--ガス交換部呼吸細気管支----+-+肺胞管----+-++肺 胞----++-+++表1.1-1●気管とその分岐の構造サーファクタント肺胞の内面は薄い水の層で覆われている.液体の表面には常に表面張力が働いているが,表面張力は,肺胞をつぶす方向に働く.サーファクタントは,この水と空気の界面での表面張力を緩和し,肺胞が虚脱するのを防ぐとともに,肺を広がりやすくしている.サーファクタントがないと肺胞は表面張力によって虚脱する.サーファクタントは胎生後期(28~32週)に産生されるため,それ以前に生まれた早産児は呼吸困難をきたす.弾性線維組織の線維成分の一つ.ゴムのように弾性に富み,血管壁や肺胞のまわり,項靱帯,黄色靱帯に多量に含まれている.太い動脈ではよく発達し,血管壁への血圧の影響を緩和している.231酸素を取り込む機能とその障害
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