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( V● A)といい,1回換気量(TV)からガス交換ができない導管部の解剖学的死腔の容量を除いたもので,次の式で表される.分時肺胞換気量(V4A)=(1回換気量TV-解剖学的死腔量)×1分間の呼吸数 すなわち,呼吸数が12回/分の場合,V●Aは(500-150)×12=4,200(mL)となる.また,炎症などがあると死腔が増え,ガス交換するための場所が少なくなるので,その後の拡散にも影響し,動脈血中の酸素分圧(PaO2)や二酸化炭素分圧(PaCO2)の値に影響する.(3)ガス交換 肺胞と毛細血管間のガスの移動を拡散という.拡散が起こるためには,肺胞から毛細血管への距離が短く,拡散できる場所が広く,拡散する物質の濃度差が十分にある必要がある.肺胞でのガス交換では,酸素は肺胞から毛細血管へ拡散するが,この場合,肺胞内の酸素分圧(PAO2)は約100Torrあり,静脈血の酸素分圧(PvO2)は40Torrであるために十分な濃度差がある.二酸化炭素については,静脈血(肺動脈)の二酸化炭素分圧(PvCO2)は46Torrであり,肺胞内の二酸化炭素分圧(PACO2)は40Torrであるため,こちらも濃度差がある(図1.1-2). このように,移動させたい物質の濃度差があり,拡散できる場所として肺の表面積が約100m2あり,肺胞内のサーファクタントの層・肺胞上皮細胞・基底膜・毛細血管右心を出た静脈血は,肺動脈にのって肺に送られ,二酸化炭素を放出する.その後,肺で酸素を取り込んだ動脈血は肺静脈にのって左心を通り,全身の組織に運ばれる.肺右心左心肺でのガス変換静脈細胞呼気PO2=117TorrPCO2=29Torr大気PO2=159TorrPCO2=0.3Torr吸気(体内)PO2=149TorrPCO2=0.2Torr肺胞気PO2=100TorrPCO2=40Torr肺静脈(動脈血)PO2=95TorrPCO2=40Torr動脈PO2=95TorrPCO2=40Torr肺動脈(静脈血)PO2=40TorrPCO2=46Torr組織PO2=40TorrPCO2=46Torr組織でのガス交換CO2CO2O2CO2O2O2図1.1-2●肺および組織でのガス交換Torr(トル)圧力の単位で,mmHgに等しい.イタリアの物理学者のトリチェリの名にちなむ.24
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