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の内皮細胞で構成されている肺胞と毛細血管の間の距離が約0.6μmであることが,拡散しやすい環境であるといえる.換気,肺での拡散,ガス交換がスムーズに行われていれば,肺胞と動脈血間の酸素分圧の差(A-aDO2)は5~15Torr程度となる.(4)ガス運搬 酸素はそのほとんどが赤血球のヘモグロビンに結合して運ばれるが,一部,物理的に血液中に溶解している.ヘモグロビン1gに対して,酸素は約1.34mLが結合して運搬される.酸素とヘモグロビンの結合具合を動脈血酸素飽和度(SaO2)といい,動脈血酸素分圧(PaO2)に影響を受けている.物理的溶解では血液100mL中に,PaO21Torrあたり0.003mLが溶け込んでいる.二酸化炭素は,血液中に物理的に溶解するもの,赤血球内に取り込まれ,重炭酸イオンとなって運ばれるもの,他にタンパク質と結合してカルバミノ化合物として運搬されるものがある.(5)呼吸調節 体内が低酸素や高二酸化炭素の状態になると,その状況をとらえる受容体が働き,その情報を呼吸中枢に送り,呼吸筋が作用して,体内の酸素や二酸化炭素を正常化する.この時,作用する受容器には末梢性化学受容器と中枢性化学受容器がある.末梢性化学受容器として頸動脈小体(内頸動脈と外頸動脈の分岐部周辺)と大動脈小体(大動脈弓)があり,主に低酸素に反応する.中枢性化学受容器は延髄腹側表層にあり,主に二酸化炭素に反応するという特徴がある.また,吸気で肺が広がると気道などにある肺伸展受容器から迷走神経を介して延髄の呼吸中枢に情報が伝達され,吸気を抑制し,呼気に切り替える反応を起こす.これを肺迷走神経反射という. 呼吸器の構造と機能が障害を受けると,酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が十分にできなくなる.そのため,体内が低酸素血症および高二酸化炭素血症の状態になることでさまざまな組織に影響を与え,細胞の代謝も障害される.酸素の取り込みと二酸化炭素の排出を行うには,呼吸運動や換気が正常に行われていること,肺胞から毛細血管へのガス交換がスムーズに行われること,そして,それらを調節する中枢が体内の状況に応じて働くことが必要な条件である.つまり,これらの部分の障害である換気障害,拡散障害,換気血流比不均等,そして,睡眠時無呼吸症候群のような呼吸調節の障害が呼吸機能障害の原因となる.他にも,外界からの影響で生じる障害があるが,その中には,病原微生物の影響による感染症や,外傷などによる気胸などが含まれる. さらに,呼吸の重要な作用には二酸化炭素の排出があるが,この二酸化炭素は酸として働いている.よって,酸が増加しても,体内では緩衝系が存在し,調節しているため,一定の状態に保たれる.しかし,呼吸状態が悪化するような変化では,酸塩基平衡障害が認められる.(1)呼吸運動障害 横おう隔かく神経や肋ろっ間かん神経からの刺激が横隔膜や外肋間筋を収縮・弛緩させることで呼吸が行われる.そのため,これらの神経系や呼吸中枢が障害を受けたり,効果器であるA-aDO2肺胞気-動脈血酸素分圧較差のこと.正常では5~15Torrであるが,これが拡大すると,肺胞換気量の低下,拡散障害,換気血流比不均等,右-左シャント(p.26参照)が考えられる.カルバミノ化合物二酸化炭素と血液タンパクのアミノ基が結合して形成される炭酸ガスのことをいう.肺迷走神経反射へリング・ブロイエル反射や肺伸展反射ともいう.1回換気量が増大したときに肺の過膨張による損傷を防ぐ働きをしている. 2呼吸機能障害の分類251酸素を取り込む機能とその障害
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