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 疾患をもつ人,痛みやさまざまな症状を抱えている人を対象に看護を展開する際,どうしても避けて通れないのが,疾患や症状の起こるメカニズムを理解することです.同じ症状でも原因が異なれば,それに対する治療や提供するケアも変わってきます.さらに,疾患や症状の起こるメカニズムを理解するためには,人体の正常な構造と機能を正しく理解していなければなりません. 身体の中のどこかに異常が起これば,それに伴って他の機能が低下することがあります.また,逆に他の機能が代償的に働いてくれる場合もあります.このように人の身体というのは,いろいろな系統が連携し合っているため,一つの系統だけを詳しく理解していても,一人の人間の身体の中で起こっていることを理解することは到底できないのです. そこで本書では,呼吸と循環の正常な構造と機能の概要,その機能が障害を起こす際の病態生理,臨床における検査や治療,そして看護までを一連の流れで理解できる構成としました.ぜひとも,理解しがたい箇所があれば,前に戻って復習しながら一つずつ理解していくよう学習を進めていただきたいと思います. 加えて,代表的な疾患については,看護過程を展開するための事例も紹介しています.一疾患につき一つの例ではありますが,他の疾患にも応用していただけるのではないかと思います. 呼吸器と循環器は密接に連携し合っています.したがって,両者を切り離して考えることは非常に困難なことでもあります.本書では,呼吸器系と循環器系とに分けて構成してはいますが,両者が関わり合っているということを常に念頭に置いて学習していただきたいと思います.また,取り上げた疾患や症状などは代表的なものであり,これら以外にもいろいろな疾患や症状があるということを忘れないでください.これだけを学習すればよいというものではなく,これを足掛かりに自ら学習を進め,学生の皆さんがさらに成長されることを期待しています. 本書で扱っている呼吸器と循環器は生命の維持に直接関わっている重要な系統器官です.そのため,これらの疾患を患っている人やその家族は,大きな不安を抱えているのも事実です.身体面はもちろんですが,精神面へのケアも忘れてはなりません.対象者を全人的にとらえ,質の高い看護が実践できる看護職者になれるよう,そしてそのために本書が少しでも役立てば幸いです.編者を代表して 佐伯 由香はじめに

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